歌いにくい国歌が調査で明らかに 歌いにくい国歌に選ばれたのは・・・

国歌をまじめに分析研究したという話は少ないですがいくつか存在します。今回ご紹介するのは

イギリス国歌は大勢で歌うには向いていない曲

という結果が出た研究。

“歌いにくい”と言われるのは当事国にとってはいい気持ちはしませんね。対象となったのは、イギリス・アメリカ・ドイツ・フランス・オーストラリア・カナダと、どの国歌もみんなで歌いたくなる様な名曲揃い!

ではこれらの国歌をどのように分析・調査をしたのでしょうか。これはロンドン大学とヨーク大学の共同研究で、”発声努力”や”各フレーズの長さ”など30項目からなる音楽的変数を使って6カ国の国歌を分析。さらに、イングランドの北部にある複数のパブやクラブで各国の国歌を流して一緒に歌いだした人数を数える実験を1160回行ったそうです。結果、一番多くの人が歌った国歌はフランスの『ラ・マルセイエーズ』。

オーストラリア、ドイツ、カナダ、アメリカと続き最下位がイギリスの『神よ女王を護り賜え』でした。イングランドが調査会場なのだからイギリス国歌がぶっちぎり1位を取りそうな気もするのですが・・・ヨーク大学の音楽学者のアリスン・ポーリーは『ラ・マルセイエーズ』は高い発声努力を要求するため、みんなで一緒に歌おうという弾みがつくと分析しています。確かに、繰り返しの部分で一気にキーが上がります。ここはみんなで歌いたくなりますね!

一方のみんなで歌うのに適していないと分析されたイギリス国歌。個人的に“一緒に歌う”というより“聞いていたい”という曲です。荘厳で気品ある雰囲気を出すメロディは宮殿で聞きたいと思わせる雰囲気があります。もちろん筆者は宮殿に入ったことがありませんが・・・この結果は決してイギリス国歌が劣っているという結論には結び付きません。過去、アメリカやドイツ、ロシアなど名だたる国々が国歌として『神よ女王を護り賜え』を採用していました。現代でもリヒテンシュタインは同じメロディを採用しており、国歌界の名曲と言えます。国歌というと“みんなで歌うもの”という印象がありますが、全てが大勢で歌うように作られているのかというとそうでもありません。載冠式の曲として、権力者への貢物として、時にはラブソングとして作られたものすらあります。ただ、こういった分析をするというのはとても面白い試みですね。是非他の国々の国歌も分析してほしいです。