国歌DE振り返る ―2017年1月~4月―

気がつけば、2017年も3分の1が終わりました。元旦に掲げた宣言がどんどん形骸化していく今日この頃です^^;

今回は、この4カ月間で起こった国歌に関する出来事をご紹介!今年はポーランド国歌が採用されて90年ということで、同国国会が2017年を“国歌の年”と定めるなど国歌がアツい年になりそうな予感がしております!!!

日本では君が代の義務化が騒がれた2017年前半であり、これはとても重要な問題です。しかし、今回はあえて国内の出来事をはずし、国外での国歌に関する出来事を紹介します。

【1月1日 台湾発】 歌う?歌わない? 国歌と政治思想の関係

毎年元旦の朝、台湾総統府前で国旗掲揚式が行われる台湾。今年はそこで行われる国歌斉唱時に蔡英文総統が国歌を歌うのかが注目されました。台湾国歌『三民主義』の歌詞は国父孫文の思想が基に作られたものです。孫文は現在の野党である国民党の人間であり、彼が作った三民主義は党の基本綱領となっています。政治色の強い物であるため、敵対する与党の民進党総統の蔡英文さんは一部を歌わないことがありました。そんなこともあり、今回の斉唱に注目が集まったわけです。結果はしっかり歌いあげ何事もなく式が終わったと伝えられています。思想の違いはあれど、国歌という国を代表する歌を国のトップが歌わないわけにはいかないということでしょうか。

【2月12日 アメリカ発】 悪夢 絶対にやってはいけない ドイツ国歌1番斉唱

スポーツイベントで国歌の流し間違いは良くあることですが、この事件は知る限り最悪の事件だと思います。フェドカップという国対抗の女子テニス大会がアメリカのハワイ州で行われました。そのワールドグループ1回戦“アメリカ対ドイツ”の開会式でドイツ国歌を男性が歌ったのですが、彼が歌ったのが1番でした。ドイツ国歌は3番ある中で通常歌われるのは2番のみです。1番と3番は国歌としてふさわしくない内容として歌われることがありません。特に1番は “ドイツ 世界を冠する”とか現在の国土より広い地域をドイツ領と主張したりとかなりドイツ優位を歌います。そんな内容が大戦時ナチスに利用され、ドイツ人の自尊心をかき立てるツールとして使われました。そのため現在1番を公で歌うと白い目で見られます。

そんなタブーにも等しい1番を堂々と歌われてしまったドイツの選手たちは激怒。動画を見ると、かなり不愉快そうな顔をしてドイツ人選手たちが国歌を聞いているのが分かります。代表選手の1人ペトコビッチさんがこれを厳しく指摘し、主催者はすぐに謝罪の声明を発表しています。国歌はとても繊細に扱う必要があります。その中でも最もやってはいけないミスを主催者はしてしまった。2020年、東京五輪ではこのようなミスがないことを切に願います。

【3月9日 中国発】 中国で国歌離れ? 意外な中国国歌事情が公表される

”中国の愛国教育は徹底している”

そんなイメージをお持ちじゃないですか?どうやら実情は違うようです。中国の経済紙“中国経済網”は、全国政治協商会議において政治協商委員から

「国歌を法制化し、小学校1年で歌えるようにすべき」といった意見が出たと伝えています。

記事によれば中国人民解放軍軍楽団の元団長で指揮者の発言を紹介。

「今の青少年の多くは国歌の意義をしっかり認識していない。

大学のテストで国歌の歌詞を書かせたところ、25%しか正解できなかった学生もいるという。

また、国歌を携帯電話の着信音用にアレンジしたり、歌詞を好き勝手に変えて歌ったりという現象もある」

として、速やかに国歌を法制化し、国歌に対する侮辱や商業化を禁止するよう提言したそうです。以前、中国の方に聞いた時、国歌は学校で必ず習うと言っていました。しかし、それは法制化されたものではなく各々が自主的にやっていたということになります。中国の様な国が愛国教育に国歌が含まれていなかったことに驚きました。それまで必要無かった国歌教育の義務化が話題になるということは中国社会に新たな流れが生まれていると考えられます。それにしても自国の国歌を1/4しか書けない学生って(笑)

2017年前期 総括

前半はスポーツに関係する国歌ネタが多かったです。国歌斉唱時、機械の故障で国歌が流れなかったり、間違えて別の国の歌を流してしまう散ったトラブル。北朝鮮で行われた、韓国対インドの試合前の国歌斉唱時のピョンヤン市民の反応、アメリカサッカー連盟が国歌斉唱時起立の義務化などがありました。残念ながら明るいネタは皆無。昨年は心が温かくなる様な出来事もあったので、今年も中期、後期にそのような出来事があることを期待しています!