国歌斉唱義務法案が可決 最大年収の40%!? 罰金額が半端ない

罰則付きの国歌関連法案が可決される

日本で“国歌斉唱義務づけ”に関しての議論は昔からあります。世界を見れば、中国では替え歌を歌ってはいけない法案を作る動きが加速しています。そんな中、ノーマークだった国が国歌に関する法案を可決しました。

全国民に国歌を「熱心に」歌うよう義務付ける法案

この法律が可決されたのはフィリピン下院。

OpenClipart-Vectors / Pixabay

違反者には日本円でおよそ10~20万の罰金、最大1年の禁錮刑が科されるそうです。フィリピンの国家統計局によれば平均世帯年収が日本円で約45万円だというからこの罰金は生活に直結する問題ですね。

最大で年収の40%ですから!

日本で言うといくら位になるんでしょう。日本の平均収入がおよそ420万円だとすると・・・・

168万!?

涙が出ます。国民からの評判も良くないようで、「他にもすることあるだろ」とか「独裁国家かよ」なんて声が上がってます。確かに国歌を大事にすることは重要だと思います(国歌好きな筆者としても)。でも、20万はちょっとやりすぎなんじゃと思っちゃいますね。しかも“熱心”というのがよく分かりません。熱心に歌っている歌っていないの判断基準は明記されていないので、かなり主観に左右されます。口や目を大きく開いて体を揺らしながら歌うのでしょうか?合唱コンクールの全国大会に出場する人たちのように・・・

国歌法案可決の背景にはフィリピンの治安の不安定化が考えられます。提案した議員は愛国心を養うのが法案の目的だと強調しているそうですが、ISISと関係のある武装組織との戦闘が近年目立つことは無縁ではないはずです。

法案の中に見える多様性を受け入れる次世代の国歌のあり方

この法案は国歌斉唱を義務化させる事だけでなく、学生に国歌を覚えさせることや原曲に忠実に演奏すること(拍子やテンポが細かく指定されている)なども義務化されています。また歌っている時は国旗を見ることが定められているわけですが・・・

じゃあ、国旗がなかったら?その場合楽団と指揮者を見るように定められていて隙がありません。そんな事細かに決まりが書かれているわけですが、まぎれてこんな文言も。

“宗教上の理由で国歌を歌えない者は十分な敬意を払い、直立不動であること”

宗教上の理由で国歌を歌えない人への配慮が書かれていることは画期的です。90%の人々がキリスト教(大半の宗派が歌を歌う)を信仰する同国でこのような文言が加えられている事に感動します。国歌を歌うことの義務化は賛否両論ありますが、少数派に考慮した文言が加わっている事に、国歌が新しいステージに立ったと考えます。

国歌は単に多数派または権力側のナショナリティを高めるもの

なのではなく

多種多様な意見を持つ人たちをまとめることが出来るもの

になりつつあるのではないでしょうか?今、世界はグローバル化が進み様々な人種・文化・価値観をもった人々が共存しています。そういった集団をまとめる1つの括りは”国”です。国歌はそのまとめ役として大いに役立つ存在なのです。ちなみに法案の成立には今後、上院での可決と大統領の署名が必要になります。

この法案の動向は要チェックです!

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