スペイン王国 国歌「スペイン王室行進曲」

スペイン王国 国歌「スペイン王室行進曲」

タイトル

Marcha Real Española確認中)/ スペイン王室行進曲

『Marcha Real』で紹介されることが多いが、国歌を規定した法律“Real Decreto 1560/1997, de 10 de octubre, por el que se regula el Himno Nacional”では「スペインの国歌は、伝統的に«Marcha Granadera»または«Marcha Real Española»として知られている」と記載されている。当サイトは『Marcha Real Española』を採用した。

作詞

歌詞なし

作曲

不明

採用年

1997年10月11日(官報に記載され施行された日)

成り立ち

起源は、1761年に「Libro de Ordenanza de los toques militares de la Infantería Española(スペイン歩兵の軍歌を規定する本)」に初めて掲載された『La Marcha Granadera(擲弾兵の行進)』という作者不詳の軍事曲。1770年9月3日、国王カルロス3世はこの曲を名誉行進曲と宣言したが、国歌として認められた時期は文章での記録はなく定かではない。しかし、スペインの人々はこの曲が王室が出席する公式イベントで演奏されることからいつの間にか『王室行進曲』と呼び国歌とみなしていた。
1868年、フアン・プリム将軍がクーデターを起こし女王イサベラ2世が亡命(スペイン9月革命)すると翌年6月には国民主権に基づく立憲王政、二院制からなる議会制を定める新憲法を定める。
1870年、プリムは国歌を作るための全国的なコンクールを開催。しかし審査員は、提出されたどの行進曲も現行国歌よりも良いものはないとして、受賞者を選ぶことができず、現行国歌を維持するよう勧告した。
1908年8月27日付の勅令により、ハルベルディア王立軍の首席音楽家バルトロメ・ペレス・カサス編曲の『Marcha Real Española(スペイン王室行進曲)』Llamada de Infantes(幼児の呼び声)を軍楽隊は演奏すべきと規定した。
1931年、共和制国家(第二共和制時代)となると国歌は一時的にHimno de Riego(リエゴ賛歌)になったものの、1937年にはフランコ将軍による2月27日付の政令で『La Marcha Granadera(擲弾兵の行進)』に歌詞を加えて国歌として再定義した。しかし、この政令を施行するには1942年7月17日の官報での掲載を待たなければいけなかった。さらにこの法令には楽譜が含まれていなかったため、『La Marcha Granadera(擲弾兵の行進)』と記載されていたものの演奏は今までと同じものが流された。
1975年、フランコ政権が倒れカルロス一世が即位し王政が復活。1978年にスペイン憲法承認後の1981年に国旗と紋章についての法律が制定された。政府は、国家のシンボルを管理する規則を完成させるために、作業部会を創設。メンバーは、サン・フェルナンド王立芸術アカデミーの音楽部門のメンバーと各省庁の代表者で構成された。国歌の新しい編曲は王立衛兵音楽隊長のフランシスコ・グラウが担当した。最終的に『La Marcha Granadera(擲弾兵の行進)』の新バージョンが承認された。新しいバージョンはペレス・カサスのハーモニーを尊重しつつ制作された。
1997年10月10日付の勅令第1560/1997号によって、官報で掲載された翌11日に国歌が規定された。

EXCELSIOR

憲法での言及はない。

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国歌に関連する法律は以下の通り。

王立令1560/1997
国歌の大まかな規定、フルバージョンが52秒、ショートバージョンの27秒があること、その使い分け。そして楽譜が規定されている。

王立令1543/1997
教育文化省に国歌の管理を定めた。ペレス・カサスの相続人が所有していたこの楽曲の権利を購入することも記載された。

王立令2027/1998
国歌の改訂とFrancisco Grau Vergaraが持つ演奏権を無償譲渡および教育文化省への帰属を認めた。

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フルと短縮バージョンの演奏基準は以下の通り

完全版:

  • スペイン国旗への賛辞の行事
  • 王または女王が出席した公式行事
  • 女王の配偶者または女王の配偶者が出席する公式の行事
  • 軍事名誉規則に規定されている行事

短縮版:

  • アストゥリアス公、アストゥリアス王女、王室の子供が出席した公式行事
  • 首相が出席した公式行事
  • スポーツイベントまたはスペインの公式代表が存在するその他の性質のもの
  • 軍事名誉規則で規定されている事例

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歌詞がないため鼻歌で歌われたりする。

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これまで幾度となく歌詞が付けられようと試みられた。

2007年6月、スペイン・オリンピック委員会が国歌の歌詞を提案する有識者会議を設置した。メンバーは音楽学者、歴史学者、作詞家、弁護士、作曲家、2回の五輪優勝歴のある女子ヨット選手テレサ・ザベルの6人で構成。翌年1月10日には、約7000件の公募の中から新しい歌詞の案として4作品を選出。当初はマドリードで歌詞案の発表式典を行い、3大テノールの1人で同国出身のプラシド・ドミンゴの歌で披露する予定だった。しかし正式発表を前に歌詞案が流出し地元日刊紙ABCに掲載されたことから論議が巻き起こった。五輪委員会長のアレハンドロ・ブランコは、「論争の原因となり多くの批判を受けた」として、歌詞案の取り下げと発表式典の延期を発表。結局、歌詞が付けられることはなかった。

歌詞

公式に認められた歌詞はない。

国歌に関するリンク

【首相官邸 スペインのシンボル”】
https://www.lamoncloa.gob.es/lang/en/espana/statesymbols/Paginas/index.aspx

【首相官邸 “Real Decreto 1543/1997”】
https://www.lamoncloa.gob.es/espana/simbolosdelestado/paginas/legislacionhimno/Himno1543-1997.aspx

【首相官邸 “Real Decreto 2027/1998”】
https://www.lamoncloa.gob.es/espana/simbolosdelestado/paginas/legislacionhimno/Himno-RD2027-1988.aspx

【政府官報 “Real Decreto 1560/1997, de 10 de octubre, por el que se regula el Himno Nacional”】
https://www.boe.es/buscar/act.php?id=BOE-A-1997-21605

【AFP “「歌詞なし」スペイン国歌、新歌詞案めぐり国内紛糾”】
https://www.afpbb.com/articles/-/2336109

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