州歌?国歌!? カタルーニャが本気で歌いだす

”カタルーニャ”というとどんなイメージがあるだろうか。

いや無いかもしれない。それより”バルセロナ”の方が馴染みがあるかもしれない。

”カタルーニャ”はスペインを構成する州の一つ。そのカタルーニャ州の独立運動が近年勢いをつけている。9月11日は”カタルーニャ国民の日”という祝日。今年、各地では独立集会が行われ、カタルーニャの州歌・・・いや国歌『収穫人たち』が歌われた。

その様子はこちら!

警察発表によれば、州都バルセルナだけで54万人参加。その他4つの都市でも数万人規模で集会が開かれスペイン政府からの分離独立を訴えた。翌日12日には、ラジオに出演したプッチダモン州首相が

「2017年6月から7月までにカタルーニャ憲法制定投票を行うことができる可能性がある」

と発表。州首相は、住民投票実施に関して中央政府との合意を目指すとしたものの、合意に至らなければ一方的に独立を問う住民投票を行うと示唆した。

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近年ますます独立の機運が高まる

カタルーニャが独立を求めるわけ

そもそも、なぜカタルーニャ州はこれ程までに独立運動が盛んなのか。大きな要因は歴史だ。君主国家だったカタルーニャは最大地中海まで勢力を拡大していたが、大西洋への道が開くと15世紀から地中海貿易が衰退。地中海の領土はオスマン帝国に奪われる。18世紀初頭に勃発したスペイン継承戦争でカタルーニャが敗北。

この日、1714年9月11日が”カタルーニャ国民の日”として祝日となっている。敗北を利用しナショナリティを再認識する日なのだ。これ以降、自分たちのシンボルや言葉を禁止されるなど屈辱の日々が続くが、その度に彼らは独立を求め力をつけ戦ってきた。そう、カタルーニャの人々は抑えつけられれば抑えつけられるほど燃えるのだ!

更に彼らが独立に自信を持っている理由として経済力がある。なんと州の経済力はスペイン経済の20%をにぎり、2014年のGDPはデンマークに匹敵する。儲かっている州は他の州に分配しなければいけないという中央政府の決まりに彼らは不満を持っている。

「他のやつらを養うために俺らは働いてるわけじゃねぇ」

不満は高まるばかり。

スペイン国歌に歌詞が無いのはカタルーニャのせい!?

国歌の魅力を伝える際に使う鉄板ネタと言えばスペイン国歌『スペイン王室行進曲』。この国歌には歌詞が無い。多くの人はまずここで驚く。国歌と言えば国民が斉唱するというイメージだったものが覆されるからだ。さらに聞き手を惹きつけるのは、歌詞が無いのには理由があるという事だ。その理由を説明すると大半の人が「へぇ~」と言ってくれる。スペイン国歌に歌詞が無いのはカタルーニャやバスク、アンダルシアなど独立を求める州がいくつかあるからだ。中央政府が歌詞を付けようとすると文句が出てしまうため歌詞をつけず波風を立てないようにしている。

独立機運がまずます高まるカタルーニャ

現在でも映画の様な事件があった。中央政府の内務大臣がカタルーニャ州反汚職事務局長と共謀。カタルーニャ州政府与党の汚職を暴き、独立運動を停滞させようと計画したが、その会話が盗聴され流出してしまう。映画の様な本当の話だ。しかし、抑えられれば抑えられるほど盛り上がるのがカタルーニャだ。

鎌を振れ

鎌を振れ

国の守り手よ!

鎌を振れ!

我らの旗を目にして

奴らは震え上がっている

まさに黄金色の小麦を刈り取るように

時が来れば、我らを拘束する鎖を断ち切るのだ

鎌を振れ

鎌を振れ

国の守り手よ!

鎌を振れ!

カタルーニャの人々が歌う国歌『収穫人たち』。歌詞には彼らカタルーニャの人々が歩んできた歴史、誇り、強い意志が込められている。17の州を統治してきたスペイン、弾圧されることで更に独立機運を高めてきたカタルーニャ。共存か独立か・・・どんな道を歩むにしろ両者が納得する形で終息するにはまだまだ時間が必要なようだ。