チャイコフスキー ビートルズ 世界の音楽に影響を与えたフランス国歌 “ラ・マルセイエーズ”

ラ・マルセイエーズといえば、国歌に興味の無い人でも知っているフランス国歌。

この人に歌わせたら間違いないロベルト・アラーニャがかっこいい!

「フランスの音楽で知っている曲は?」と聞かれたら“オー・シャンゼリゼ”並の知名度ではないでしょうか?

もちろんクラシックまで広げれば切りがありません。サティ、ドビュッシー、サンサース・・・クラシックを挙げたらキリがないですが、国名と楽曲が結びつくのはあまりありません。

 

国歌の話でフランス人作曲家といえばシャルル・グノーでしょう。

彼が作曲した“賛歌と教皇の行進曲”は現在バチカン市国の国歌になっています。(非公式)

それでもこの曲とフランスが結びつくことは難しいでしょう。

当たり前のことですがフランス人にとってラマルセイエーズは重要な曲です。パリ同時多発テロ(2015)やノートルダム大聖堂火災(2019)などの際、市民が歌い鼓舞する様子がメディアで報じられました。そして、国歌として革命歌として世界で愛され尊敬を集めてきたことは間違いありません。

ドイツ国歌”ドイツの歌”はラ・マルセイエーズがきっかけで生まれた国歌の一つです。

ドイツ国歌の作詞家ホフマン・フォン・ファラースレーベンはドイツ統一を強く願う知識人の一人でした。当時のドイツは39の国が存在し統一政府というものが存在していなかったからです。そんな時代、彼が旅中乗った船に偶然同乗していたフランスの軍楽隊による“ラ・マルセイエーズ”を聞きます。伝えによれば彼は大きなショックを受けたそうです。そこで、ホフマンはドイツ民族の統一を願って詞を書きます。これが後のドイツ国歌の歌詞です。

 

またキューバ人のPedro Figueredoはラ・マルセイエーズを参考にキューバ国歌“バヤモの歌”の作詞作曲をしています。導入部分など似ているところが多々見られますよ。

 

がっつりメロディを使っていたのがロシア。

“労働者のラ・マルセイエーズ”と呼ばれていたこの曲は二月革命直後の臨時政府やソ連建国1年目に国歌として使われていました。革命歌として知られていた曲が革命で生まれた政府の仮の国歌として採用されるのは自然な流れですね。

「Вперёд, вперёд」の繰り返し部分が愛らしいです。

 

直接的な関係は認められていませんが、曲調からベネゼエラ国歌“勇敢なる人民に栄光を”は、その力強いメロディから「ベネズエラのラ・マルセイエーズ」という通り名で知られています。

「セルビアのラ・マルセイエーズ」というのもあります。

“Onamo, ‘namo!”は19世紀後半から20世紀初頭にモンテネグロ王国で誕生したポピュラーソングです。1992年にモンテネグロ政府はこれを公式の国歌として使用することを検討しましたが内容が過激すぎるという理由で見送りました。

 

ビートルズもラ・マルセイエーズのメロディを使っています。

”All You Need Is Love”のイントロ部分をよく聞いてみると・・・

 

曲の中で使われているといえば、チャイコフスキーの”1812”も有名です。

5:30あたりで聞こえてきます。ちなみに最後には祝砲のシンバルとともにロシア帝国国歌”神よツァーリを護りたまえ”も流れます。

曲の内容が「攻めてきたフランス軍をロシア軍が撃退するという話」を曲にしたもの。国歌が使われていると思って聞くとより楽しむことができますね!

この曲はベートーヴェンの”ウェリントンの勝利”を基に作成しているのですが、ここではイギリス国歌”神よ 王を護り給え”が使われます。

 

いかがでしたか?

国歌界名曲の一つラ・マルセイエーズがいかに多くの影響を与えてきたのか知って頂ければ幸いです。