ジャマイカ国歌「ジャマイカ国歌」
ジャマイカ 国歌「ジャマイカ国歌」
タイトル
THE JAMAICAN NATIONAL ANTHEM (ザ ジャマイカン ナショナルアンセム)/ジャマイカ国歌
政府系サイトでは『ジャマイカ国歌』と紹介されており、『Jamaica, Land We Love』を公式なタイトルとする文言は確認できていない。
作詞
Hugh Sherlock /ヒュー・シャーロック
1905年3月21日、ジャマイカのポートランド生まれ。1932年からメゾジスト協会に所属し聖職者として活動。ジャマイカ地区の会長を数年務めた後、カリブ海及びアメリカ大陸で設立されたメソジスト教会の初代会長に選出されると、任期終了後の1972年から1977年まで、ジュネーブで世界メソジスト会議の書記を務める。また、クリケットの選手としても活躍し児童自立支援にも役立てた。1998年ジャマイカで逝去。
作曲
Robert Lightbourne /ロバート・ライトボーン
貿易産業大臣。
編曲
Mapletoft Poulle, Christine Alison Poulle /メイプトフト・プーレ、クリスティン・アリソン ポール
夫婦で編曲を行った。
メイプトフト プーレ(夫)は1923年7月17日ジャマイカ キングストン生まれ。幼少の頃よりピアノやヴァイオリンを学び16歳で学位を取得、王立音楽学校の准修士号も取得した。本人は音楽の道に進みたいと考えていたが家族の勧めで1947年に弁護士となる。しかし、音楽への情熱が途絶えることはなくプライベートでバンドを結成し活動し活躍。60年代にはジャマイカ国立劇場の海外ツアーの音楽監督を務めた。1981年2月8日、自宅で心臓発作を起こし逝去。
妻のアリソンは再婚し2020年時点、ご存命。
採用年
1962年7月19日
成り立ち
1961年9月、政府は翌年の独立を見据え、それまで歌われていた英国国歌に変わる国歌を制作することを決定する。まず歌詞のコンテストが行われ、62年の3月31日まで募集がされた。結果100点近く作品が寄せられる。選定を行ったのは議員で構成された議会委員会で、国旗の選定もここが行った。歌詞で選ばれたのがヒュー・シャーロック牧師の作品。
メロディの選定は難航を極め、委員会に挙げられたのは絞られた14作品で、うち2点が際立っていたという。この時、独立日の6週間前の6月21日と時間が迫っていた。
一つは西インド連隊のバンドマスター、エドワード・ウェイドが作曲した『Jamaica Proud we Stand』、そしてもう一つが後の国歌となるロバート・ライトボーンの作品だった。委員会だけでは意見がまとまらず、国会のロビーで議員たちに意見を聞くことにした。しかし、聞かせた音源は、時間がなかったため伴奏なしで録音したもので、味気ない音となった。そのため聞いていた議員からは不満の声が噴出。新曲を望む声や、『オー・カナダ』と英国国歌が入り乱れ、公式国歌があやふやだった(67年に47のヴァージョンがあったことが政府の調査で分かっている)当時のカナダを例に出し、国歌がなくてもいいのではという意見もあったという。議論は難航し同意がないまま閉会してしまう。世間では選考委員会によるオーディションが行われる前にエドワード・ウェイドの曲が流出。バンドと合唱団による演奏がラジオ局で放送され、国民から多くの支持を受けていた。
一方、ロバート・ライトボーンの作品は、ジャマイカに駐留していた英国のハンプシャー連隊バンドマスター准尉ジョン・プラントによってアレンジされたが、歌詞とメロディがうまく合わなかった。そこで、選考委員会はプーレ夫妻に編曲を依頼。夫妻は、ライトボーンが制作したメロディの4小節のみを残し曲を作り上げた。更に、歌詞の最後に “Jamaica, Jamaica land we love. “の文言を追加し提出する。更に、バンド演奏ができるようジャマイカ軍楽隊のメンバーであるジョー・ウィリアムズ少佐が編曲し委員会に提出した。
最終的には、テープに改めて録音された2曲が議員メンバーに公開され、ライトボーンが編曲した作品が魅力的だとして選ばれた。しかし選曲の理由として、選ばれなかった曲の作曲者エドワード・ウェイドがイギリス人であるという理由もあった。
1962年7月19日、議会に提出され正式に国歌として承認され、20日の新聞で「ジャマイカ人が作詞作曲した曲」として歌詞と楽譜が掲載された。初演は独立記念日の1962年8月6日。
EXCELSIOR
♪
憲法での言及はない。
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議会によって承認されたと紹介されているので法律はあるようだが確認できなかった。
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編曲をしたプーレ夫妻は夫の死後も活躍が公式に認められることがなかった。しかし、2011年、このことをジャマイカオブザーバー新聞がトップで報じると事態は急変。 1週間も経たないうちに当時のブルース・ゴールディング首相から、2人に国家勲章を授与する旨が手紙で遺族に伝えられた。手紙には「私たちの国の遺産への彼らの貢献を認識し、尊重することの見落としは、今年修正される重大な問題です」と書かれていた。2011年10月17日に行われた授与式には、夫は亡くなり、夫人は病気で式典に出席が出来なかったため、アメリカに住む息子が代わりに出席。夫妻それぞれランクの違う名誉勲章が与えられた。
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編曲を行ったライトボーンは自身の国歌制作への貢献が軽視されていると感じていた。結果、彼の家族が大英図書館に送ったオリジナルの楽譜は、ジャマイカに返されることなく、そのまま英国に置かれた状態が続いている。→どのような目的で大英図書館に送ったのか不明。
歌詞
【1】
Eternal Father bless our land,
Guard us with Thy Mighty Hand,
Keep us free from evil powers,
Be our light through countless hours.
To our Leaders, Great Defender,
Grant true wisdom from above.
Justice, Truth be ours forever,
Jamaica, Land we love.
Jamaica, Jamaica, Jamaica land we love.
【2】
Teach us true respect for all,
Stir response to duty’s call, strengthen us the weak to cherish,
Give us vision lest we perish.
Knowledge send us Heavenly Father,
Grant true wisdom from above.
Justice, Truth be ours forever,
Jamaica, land we love.
Jamaica, Jamaica, Jamaica land we love.
歌詞 日本語訳
歌詞 カタカナ読み
国歌に関するリンク
【JAMAICA INFORMATION SERVICE “Anthem & Pledge”】
https://jis.gov.jm/information/anthem-pledge/
【国立図書館“THE NATIONAL SYMBOLS & EMBLEMS”】
http://www.nlj.gov.jm/Ja50/national_symbols.htm
【国立図書館“Rev. Hugh Braham Sherlock”】
https://nljdigital.nlj.gov.jm/items/show/2689#?cv=0&c=0&m=0&s=0&xywh=1%2C8%2C395%2C403
【Irish Times “Great Caribbean church leader dies”】
https://www.irishtimes.com/news/great-caribbean-church-leader-dies-1.172327
【Music Unites Jamaica Foundation “Eugene Mapletoft Poulle”】
https://www.musicunitesjamaica.com/mapletoft-poulle.html
【JAMAICA OBSEVER “National Anthem co-authors finally have their day”】
https://www.jamaicaobserver.com/news/National-Anthem-co-authors-finally-have-their-day_9943009
【The gleaner “Jamaica sets to task of popularising National Anthem”】
https://jamaica-gleaner.com/article/esponsored/20210723/jamaica-sets-task-popularising-national-anthem
【The gleaner “From colony to Independence (Pt 1)”】
https://jamaica-gleaner.com/gleaner/20120715/focus/focus6.html