イギリス国歌「神よ女王を護り賜え」
イギリス 国歌「神よ女王を護り賜え」
タイトル
God Save the Queen (ゴット セーブ ザ クイーン)/ 神よ女王を護り賜え
君主が男性の場合“キング”に、女性の場合は“クイーン”になる。
作詞
不明
作曲
不明
採用年
未採用
成り立ち
メロディを誰が作ったのかははっきりしない。チューダー王家時代(1485~1603)の聖歌が元になっているのではないかと言われている。最古の楽譜は1619年頃イギリスのオルガニスト ジョン・ブル氏によって書かれたものがある。
歌詞付きでの演奏で最古の記録として1745年9月28日、ロンドンにあるシアターロイヤル ドルリーレーンで行われたとされる。これはジャコバイト蜂起にて政府軍が反乱軍におされる中、愛国心をかき立てる目的で行われた。この曲は現在の国歌に近いもので、これに編曲したのは愛国歌として同国で人気のある『ルール・ブリタニア』を作曲したトーマス・アーン。
EXCELSIOR
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憲法や法律で国歌として認められておらず、慣習として歌われている。
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メロディはリヒテンシュタイン国歌、ノルウェー王室讃歌と同じ。
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英連邦王国では王室賛歌として歌われる。
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カナダ オンタリオ州議会では毎月第1月曜日にカナダの国歌に加え王室歌として「神よ女王を護り賜え」が歌われている。カナダは英連邦王国のひとつ。
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スポーツの国際試合において、イングランド代表チームはしばしば『エルサレム』や『希望と栄光の国』を歌う。
サッカーの場合、イングランド、北アイルランド、ウェールズ、スコットランドにチームが分かれ、この内イングランドと北アイルランドが『神よ女王を護り賜え』を歌う。北アイルランドが『兵士の歌』を歌う場合もある。
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全部で3番まであるが、通常歌われるのは1番のみだが、場合により3番も歌われる。2番は軍事色が強い為歌われることはめったに無い。
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君主に向けて歌われるものなので、君主が歌うことはない。
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君主の性別によって変わるのはタイトルだけではない。歌詞内の“her”と“him”が入れ替わる。
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ニュージーランドでは“God Defend New Zealand”と同位置に扱われ、国歌が2つ存在する。また同国にはマオリ語バージョンが有り、イギリスからニュージーランドに渡った宣教師ヘンリー・ウィリアムズの長男であるエドワード・マーシュ・ウィリアムズが1860年に翻訳した。
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メロディは様々な讃歌で使用され、プロイセン(Heil dir im Siegerkranz)、デンマーク、ロシア、では国歌として、スウェーデンでは前の王室讃歌として、スイスやアメリカ(My Country, ‘Tis of Thee)では非公式の国歌として使われていた。
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軍に対する女王の規則“National anthem”を演奏する際の細かな決まりなどが記載されており法律上国歌がない中で、このような規定があるのは興味深い。
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国歌変更の議論が度々起こる。
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フランスのルイ14世の痔の手術が成功を祈って書かれた歌という節も散見されるが根拠はない。
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君主の性別によってタイトルや歌詞が変わる。”Queen”が”King”、“her”が“him” や”his”に入れ替わる。2022年9月8日、エリザベス女王逝去に伴い、70年ぶりに国王Verに変わり歌われることとなった。
国王Ver はこちら。
歌詞
【1】
God save our gracious Queen,
Long live our noble Queen,
God save the Queen:
Send her victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us:
God save the Queen.
【3】
Thy choicest gifts in store,
On her be pleased to pour;
Long may she reign:
May she defend our laws,
And ever give us cause
To sing with heart and voice
God save the Queen
※過去、様々な節が誕生しているが、当サイトではイギリス王室サイトが紹介している上記2節の歌詞を表記する。
歌詞 日本語訳
【1】
神よ我らが慈悲深き
女王陛下を守りたまえ
我らが高貴なる女王陛下よ永らえよ
神よ我らが女王陛下を守りたまえ
彼女に勝利
幸福と栄光を捧げよ
御代の永らえんことを
神よ我らが女王陛下を守りたまえ
歌詞 カタカナ読み
【1】
ゴット セーブ オア グレーシァス クイーン
ロング リブ オア ノーブル クイーン
ゴット セーブ ザ クイーン
センド ハー ビクトーリアス
ハッピー アンド グローリアス
ロング トゥ レイン オーバー アス
ゴット セーブ ザ クイーン
国歌に関するリンク
【イギリス王室 “National Anthem”】
https://www.royal.uk/national-anthem
【カナダ政府“王室讃歌”】
https://www.canada.ca/en/canadian-heritage/services/royal-symbols-titles/royal-anthem.html
【ニュージーランド 文化&歴史省“God Save the Queen”】
https://mch.govt.nz/nz-identity-heritage/national-anthems/god-save-queen
【ニュージーランド 文化&歴史省“プロトコル”】
https://mch.govt.nz/nz-identity-heritage/national-anthems/protocols
【ヴァージン諸島政府 “国歌”】
http://www.bvi.gov.vg/national-anthem
【HISTORY Extra(BBC)“How old is the British national anthem?”】
https://sites.google.com/site/jpemburujap/uruguay/symbols
【CBC “Indigenous MPP says singing God Save The Queen in legislature ‘a step backwards’”】
https://www.cbc.ca/news/canada/toronto/ontario-royal-anthem-1.5474257
【INDEPENDENT“English national anthem: MPs back plan to replace God Save The Queen at sporting events”】
https://www.independent.co.uk/news/uk/english-national-anthem-mps-vote-replace-god-save-queen-sporting-events-a6810071.html
【イギリス政府“The Queen’s Regulations for the Army”】
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/493547/20150529-QR_Army_Amdt_31_Jul_2013.pdf
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