【シリーズ】リオ五輪を振り返る 国歌で ~④イギリス国歌に「べろ~ん」~
国歌には敬意を払うのが当たり前!?
プロジェクトのイベントで国歌を参加者と歌う時、起立と脱帽を”お願い”している。これは相手国への敬意を示すためだ。しかしこれは強制ではない。あくまでも”お願い”だ。でも、ほとんどの方々は立ち、脱帽をしてくれる。”お願い”にこだわるのには理由がある。「強制から敬意は生まれない」と思うからだ。今回は国歌に対する歌い手の想いについて考えさせられた珍事件をご紹介。
イギリス国歌に 舌べろ~ん事件
自転車競技では史上最多の8つのメダルを獲得し、サーの称号を持つイギリスのブラッドリー・ウィギンス。彼は今回、追い抜き団体で金メダルを取ったのだが、メダル授与式での行動が問題となった。
国歌『神よ女王を護り賜え』の演奏中にウィギンスが目を見開き舌を出した顔を写した後、チームメイトが思わず笑ってしまっている様子が映されている。英国内の反応は
「おろか者だ」 「彼だから許される」 「爵位を剥奪すべきだ」
と賛否意見が出ている。個人的には、この映像を何度も見ていると「憎めないキャラクターだなぁ」と笑えてくる。
国歌に敬意を払うかはその人次第
”国歌には敬意を払う”
その意見に異論はない。しかし、敬意を強制することは出来ない。敬意は内から出てくるものなのだから。国歌に対して色々な考えがあってもいいと思っている。筆者は以前、ヨルダンで出会ったイギリス人女性に国歌を歌ってほしいとお願いをした事があった。彼女はガザ地区でボランティアをしていると言っていた。歌ってくれたのだが、歌い方がすごくイヤイヤだ。敬意を微塵にも感じない。
「私は王室が税金泥棒だと思っているから敬意なんて払えない」
それが彼女が嫌々歌う理由だった。イギリス国歌は王室が末永く続きますようにという内容の歌詞。彼女のように王室に対して批判的な意見を持った人が敬意を持って歌うのは難しい曲だ。ウィギンスのように浮かれてやってしまった事と一緒にするのはお門違いだが、彼女のように国歌に対して批判が出来る社会の空気があるというのは大事なことだ。
話戻って舌を出した件だが、これが他国の国歌演奏中だったら問題だ。でも頑張って手に入れた金メダル。勝ち取った表彰台にあがりカメラでアップで写されたらお茶らけちゃうかもしれないし、自国なら許してあげても・・・と言うのは言い過ぎだろうか。