世界一長い国歌は? 長年問われてきた問題に挑む
国歌というのは国を象徴する歌ですが、調べてもよく分からないようなことがたくさんあります。国歌神話とも言えるような偽の情報が独り歩きし、さも本当の情報のようにネットを中心に拡散されています。タチが悪いのはその情報を書籍化され情報に信憑性を持たせてしまっている例も・・・
今回はよく尋ねられる
世界一長い国歌はどこのものですか?
この問題に挑みます。
世界一長い国歌はギリシャ国歌“自由への讃歌”・・・なのか?
インターネットで検索してみると「ギリシャ国歌は世界で一番長い」という記事をたくさん見かけます。
「158節まで歌詞があり世界一長い国歌です」
158番まで歌詞があるならぶっちぎりで世界一長い国歌であることは間違いありません。
でも158番もある国歌って使いにくい・・・
駐米ギリシャ大使館のHPを見ると
「ギリシャ国歌“自由への讃歌”は158節からなる世界一長い“text”の国歌」
と紹介されています。
確かに国歌の歌詞として使われている詩はギリシャで有名な詩人が作った158節にもおよぶ超長いものです^^;
しかし、実は国が“国歌”として制定しているのは158節全てではありません!
ギリシャ大統領府のホームページによれば
全158節ある4行詩のうち24節が国歌として制定していると記載されています。
そうなると原文は確かに158節ありますが、国歌として制定されているのは24節のみとなります。
念のため駐日ギリシャ大使館に問い合わせたところ
「24節が国歌として制定していますが、通常公式の場で2節が歌われます」
との回答。
もし全部歌うとなると間奏含めおよそ1時間かかる超大作の歌なので大変なことに・・・学校行事で歌ったら貧血で倒れる生徒が続出する惨事になるかもしれないですね。
さて、この情報を踏まえて改めて考えてみましょう。
制定されている24節全て歌うとなるとおよそ11分。
11分クラスの国歌はいくつかあるので、世界で一番長い国歌という称号はギリシャではないかもしれません。
最終決戦はエルサルバドルとウルグアイ
原文最長はギリシャ国歌です。定義を広げれば従来通り
“ギリシャ国歌は世界一長い国歌”
というのは間違いありません。
でもあくまで原文ですから、正確には最も長い国歌とは言えません。
そもそも国歌は国民に認識されて初めて国歌といえるのではないでしょうか?
そこで国民なら認識しているであろう、普段歌われている節の長さを比べてみます!
中南米の国歌は全体的に長いのですが、その中でも飛びぬけて長いのが
エルサルバドル“エルサルバドルの国歌”とウルグアイ“ウルグアイの国歌”でしょう。
なんと双方とも1節が4分以上あります!
“エルサルバドルの国歌”
“ウルグアイの国歌”
間奏やリフレインがあったり途中メロディが変わったりとオペラ作品を聞いているようです。
エルサルバドルは大統領府ホームページに音源があります。
その長さ4分14秒。
一方のウルグアイ国歌は政府機関のホームページには音源が見当たらず、同国の国営放送TNUが作成した手話による国歌動画があります。
その尺なんと
4分26秒!!
僅差ではありますがウルグアイが最長。
また、エルサルバドルは通常の行事ではリフレイン部分のみが歌われます。
そういった意味でも世界一長い国歌はウルグアイと言えるでしょう。
それにしても前奏が長い・・・
結論
『国民に認識されている世界一長い国歌はウルグアイ国歌』
世界一短い国歌についても本気で調べてみました。是非コチラもご覧ください!!