ニジェール国歌変更へ 独立60年を目前に目指す負の歴史精算
ニジェール国歌が変わるというニュースが飛び込んできました。
今年11月21日遅く、Assoumana Malam Issa文化・文芸復興大臣は国営テレビで『Comité National chargé de réfléchir sur l’hymne National du Niger (ニジェールの国歌を反省することを担当する国家委員会)』の継続が決定したと発表しました。
大臣は加えて「国歌の一部は満場一致で批判の対象となります。国歌は、愛国的な存在に触れるようなスローガンの類のように人々を刺激する必要があります」と現在の国歌への不満を国民が感じていると語り、委員会が新しい国歌作成に取り組むことを大統領から命じられたと述べました。
委員会は1年前からビルジ・ラフィニ首相が議長を務め、作家、作曲家、大臣を含む15人の専門家のチームが新しい国歌の可能性について話し合われてきましたが、今後本格的に国歌変更に向けて動き出すこととなります。
なぜニジェールは国歌の変更を目指すのか
ニジェールは1890年代後半から独立する1960年までフランスにより植民地として開発されていきました。国歌『La Nigérienne』は独立後の1961年、作詞作曲それぞれニジェール人ではなくフランス人によって制作され現在に至ります。ソーシャルメディア上でニジェールの人たちは「Let us be proud and grateful / For our new freedom!(誇りと感謝を込めましょう/新しい自由のために!)」の部分がフランスに対する封建的敬意を暗示していると書き込んでいて、“フランス人が作った駆け出しの旧植民地国への劣等表現”として認識されているようです。
どのように国歌が変更されるのか
委員会の発表によれば、歌詞の修正が優先されますが可能ならニジェールの現在の状況を反映する新しい国歌を検討するそうです。ということはメロディの変更の可能性もあるということですね。
今後、ニジェールにある7つの地域に住む全ての人々が変更の議論に参加ができるオープンな環境になるようです。委員会からは「国の言葉」で提案するよう求めています。これはニジェールの公用語であるフランス語であると想定されます。もしかすると最大部族であるハサウ族が使うハウサ語を使って作られることも考えられますが、他部族のことを考えると難しいかもしれません。
公的協議の具体的な期限はなく、委員会は国歌が完全に変更されるか、特定の部分だけを変更するかについて決定する権利を持っています。
アフリカ諸国の国歌変更の流れは広がるか
来年、日本はオリンピック一色になると思いますが、アフリカ大陸の多くの国が独立から60周年を迎えます。皆さんご存知の1960年の“アフリカの年”ですね。そしていくつかのアフリカ諸国は自国の人間でない人物が国歌の作成に関わっています。今回話題になったニジェールのようにフランス人が関わった国歌を持つ国として、セネガルやルワンダ、中央アフリカ、トーゴ(賛美歌のアレンジ)が挙げられます。
もしかしたら来年、国歌変更の話題がアフリカ中心で沸き起こるかも知れません。
国歌好きには目が話せない年になりそうです!