ポーランド共和国 国歌「ドンブロフスキのマズルカ」

ポーランド共和国 国歌「ドンブロフスキのマズルカ」

タイトル

Mazurek Dąbrowskiego(確認中)/ ドンブロフスキのマズルカ

マズルカはマゾフシェ地方の民謡の名称。
“ポーランド未だ滅びず”と紹介されることもあるがこれは第二次世界大戦まで使われていた。梶さやか著『ポーランド国歌と近代史』では“ドンブロフスキのマズレク”と表記されている。当サイトでは駐日ポーランド大使館のXでの投稿に基づいて記載。

作詞

Józef Wybicki /ユゼフ・ヴィビツキ

1747 年 9 月 29 日、ポーランド・ベンドミン生まれ。弁護士連盟の特使としてウィーンとベルリンの裁判所に滞在し、1771 年にはオランダの大学で法律と経済学を学ぶ。第一次ポーランド分割後、ベンドミンがプロイセンの統治下に置かれたことを知り帰国すると、ロシア帝国・プロイセン王国に対する反乱コシチュシュコ蜂起に参加。蜂起の失敗でパリに亡命し、フランスでポーランド軍創設に尽力した。ワルシャワ公国時代には上院議員を、ポーランド王国時代には最高裁判所長官を務める。ワルシャワから故郷に戻った数カ月、死は突然訪れた。1822 年 3 月 10 日にポーランド・マニエチュキの自邸で逝去。Brodnicyに埋葬されたが、100年後に遺灰がポズナンの聖ペトロ教会地下にある埋葬室に移送された。ここにはドンブロフスキ将軍の心臓も収められている。
弁護士、教育者、地理学者、国会議員、上院議員、王室侍従、社会・政治活動家、詩人、劇作家と多彩な顔を持っていた。
コシチュシュコの蜂起では同僚の将校から死刑宣告を受けたドンブロフスキを弁護士として助けたエピソードがある。
謙虚な性格だったと言われており、ナポレオンが褒美として国有財産や固定給を提案したが、それを断り、プロイセンによって没収された財産の返還のみを求めたという。

作曲

不明

当時知られていた作者不明のマズルカのメロディと言われているが事実は不明で、ヴィビツキ本人が作曲したと主張する人もいる。

採用年

1927年2月26日

国歌とすると通知がされた日。

成り立ち

国歌という概念の誕生は19世紀というのが常識となっているが、ポーランドではもっと早い段階から国歌が導入されていたという意見を持つポーランドの歴史家たちがいる。
ポーランド最初の国歌と言われているのが聖ペトロによって制作されたといわれポーランド最古の賛美歌『Bogurodzicy(神の母)』で、14世紀に書かれたとされる。また同時期に『Gaude Mater Polonia』もポーランド王国の事実上の国歌として存在し、重要な戦闘で多くの兵士が歌われ、国歌的な祝賀行事でも歌われていた。
18世紀に入ると内戦と外国からの干渉がありポーランドの存在は薄れていく。ロシア、プロイセン、オーストリアによる複数回の分割によってポーランド王国は消滅。ポーランド復活を求めた人々は、分割を進めた国々との戦いに勝利し続けていたフランスのナポレオン・ボナパルトと合流する。
ポーランド消滅から2年後の1797年7月、後に国歌の作詞家として名を馳せるユゼフ・ヴィビツキはイタリアのレッジョ・ネレミリアに駐屯する友人のヤン・ヘンリク・ドンブロフスキ将軍(ポーランド軍創設者の一人)率いる軍に合流。そこでユゼフ・ヴィビツキはコシチュシュコ蜂起以来で久しぶりにポーランド軍を見たことに感動した。この感動を原動力に、ポーランド人に自由を取り戻す信仰と希望を与える兵士の歌「駐イタリア・ポーランド軍歌」を同年夏、一夜にして書きあげた。これが現在の国歌ドンブロフスキのマズルカ』となる。
1797年7月20日同地で作者自身によって演奏されたのが初演となった。
ポーランドで初めて演奏されたのはドンブロフスキ将軍がポズナンに到着した1806年。この曲は国内だけでなく独立を求める世界中に散ったポーランド人たちに愛され17か国の言語に訳され、1927年2月26日に正式な国歌になるまでに様々なバリエーションが生まれた。
1807年、ポーランド分割に参加していたプロイセンとの戦いを有利に進めていたフランスはティルジット講和条約によってポーランドの地にワルシャワ公国を建国を認めさせた。この時代、ドンブロフスキ将軍と軍事大臣との軋轢を避けるため公の場で歌われることが少なくなり、演奏される場合は歌詞がない状態で行われた。しかし1809年に戦争が始まると同曲は再び使われるようになる。
ナポレオンが失脚し、ロシア帝国の影響を受け生まれたポーランド王国では『国王の繁栄を願う国民の歌 神よポーランドを』が公式の王室歌となった。
1830年の十一月蜂起後、ドンブロフスキのマズルカ』が再び歌われるようになったが蜂起が失敗すると運動の象徴として歌われていたドンブロフスキのマズルカ』は禁止される。1850年にはプロイセン領でも禁止された。
第一次世界大戦後の1918年11月、ポーランド共和国として独立を回復したものの国歌選定は難航。1919年に国旗と国章を定める法律は制定されたが国歌は含まれなかった。過去歌われていたものだけでなく、新曲を含むコンクールなども開催されたという。1921年には憲法が制定されたが、国歌は決まらぬまま。外交の場では統一できず様々な曲が演奏されていた。
公的な動きがあったのは1926年5月5月クーデター後の 10 月 15 日。宗教宗派および公共啓蒙省(MWRiOP)が国歌に関する官報を発行する(Nr O. Prez. 11501/26 Dz. Urz. MWRiOP z 1926 r. nr 14, poz. 191) 。『ポーランドは未だ滅びず』の 4つの スタンザと楽譜が添付され、すべての学校で歌うことを求める内容で1926 年 11 月 1 日に施行された。
1927年2月26日、内務大臣は官報第 49 号 (OL. 9722 Dz. Urz. MSW z 1927 r. nr 1 i 2, poz. 60) で、『ポーランドは未だ滅びず』の第1節を国歌とすると通知した。
1939年、ドイツがポーランドに侵攻するとドンブロフスキのマズルカ』は再び禁止に。
終戦後の1948年 6月20日、ポーランド人民共和国の教育省がドンブロフスキのマズルカ』を国歌として使うことを通知。
1976年に改正されたポーランド人民共和国憲法の第103条には、「ポーランド人民共和国の国歌はドンブロフスキのマズルカ』である」と記載され、初めて国歌が法的に認められた。1980年1月31日、「ポーランド人民共和国の国章、国旗、国歌に関する法律」が議会で制定(3月11日施行)され歌詞やメロディが定められる。
1990年2月9日、ポーランド共和国になったのちの議会でも国歌の継承が法律によって確認された(2月22日公布)。
1997 年 4 月 2 日制定の憲法第 28 条3で国歌がドンブロフスキのマズルカ』であることが明記された。

EXCELSIOR

憲法第 28 条3で国歌がドンブロフスキのマズルカであることが明記されている。

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法律では1980年1月31日、『ポーランド人民共和国の国章、国旗、国歌に関する法律』によって歌詞やメロディが定められ、この法律が改正され現体制下でも使われている。

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ドンブロフスキのマズルカを基に作られた国歌や著名な作曲家による作品がある。

・スロバキア共和国(1939-1945)Hej, Slováci
・ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(1977-1992)/ユーゴスラビア連邦(1991-2006)『スラブ人よ』
・ワーグナー「Polonia/ポロニア」
・エルガー「Polonia/ポロニア」

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歌詞においても、ウクライナやリトアニアの国歌に大きな影響を与えたと言われている。

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フレデリック・ショパンは1845年に行ったコンサートでドンブロフスキのマズルカを演奏し、興行主や聴衆が処罰される事件があった。

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1979年のオリジナル歌詞
Jeszcze Polska nie umarła
Kiedy my żyjemy
Co nam obca moc wydarła
Szablą odbijemy.

Marsz, marsz Dąbrowski
Do Polski z ziemi włoski
Za twoim przewodem
złączem się z narodem.

Jak Czarnecki do Poznania
Wracał się przez morze
Dla Ojczyzny ratowania
Po szwedzkim rozbiorze.
Marsz, marsz Dąbrowski…

Przejdziem Wisłę przejdziem Wartę
Będziem Polakami
Dał nam przykład Bonaparte
Jak zwyciężać mamy.
Marsz, marsz Dąbrowski…

Niemiec Moskal nie osiędzie
Gdy jąwszy pałasza
Hasłem wszystkich zgoda będzie
I ojczyzna nasza.
Marsz, marsz Dąbrowski…

Już tam ociec do swej Basi
Mówi zapłakany
Słuchaj jeno pono nasi
Biją w tarabany.
Marsz, marsz Dąbrowski…

Na to wszystkich iedne głosy
Dosyć tej niewoli
Mamy racławickie kosy
Kościuszkę Bóg pozwoli.
Marsz, marsz Dąbrowski…

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歌詞でスウェーデンについて言及する珍しい国歌。

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オリジナルと現行版では様々な違いが見られる。歌詞の変更をはじめ、スタンザの順番変更、4節と6節が削除されている。

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作詞家が生まれ故郷には国歌博物館がある。

歌詞

【1】
Jeszcze Polska nie zginęła,
Kiedy my żyjemy.
Co nam obca przemoc wzięła,
Szablą odbierzemy.

【コーラス】
Marsz, marsz Dąbrowski,
Z ziemi włoskiej do Polski.
Za twoim przewodem
Złączym się z narodem.
(コーラス)

【2】
Przejdziem Wisłę, przejdziem Wartę,
Będziem Polakami.
Dał nam przykład Bonaparte,
Jak zwyciężać mamy.
(コーラス)

【3】
Jak Czarniecki do Poznania
Po szwedzkim zaborze,
Dla ojczyzny ratowania
Wrócim się przez morze.
(コーラス)

【4】
Już tam ojciec do swej Basi
Mówi zapłakany –
Słuchaj jeno, pono nasi
Biją w tarabany.
(コーラス)

歌詞 日本語訳

 

歌詞 カタカナ読み

【1】
イェッシェ ポルスカ ニェッスギ ネーワー
ケーディーミーシ イェーミ
ザーナー モッツァ シェモ シェーワー
シャーラ オーデェ ジェーミ

【コーラス】
マルシュ マールシュ ドンブローフ スキー
ジェーミ ウォルスキド ポール スキー
ザットイーーム ゼ ウォーデーン
ウワッチェー ザ ローデン

国歌に関するリンク

【大統領府 “Konstytucja RP”】
https://www.prezydent.pl/prawo/konstytucja-rp

【大統領府 “Hymn Rzeczypospolitej Polskiej”】
https://www.prezydent.pl/dla-mediow/materialy-do-pobrania/hymn-rp

【ISAP “Dz.U. 1980 nr 7 poz. 18”】
https://isap.sejm.gov.pl/isap.nsf/DocDetails.xsp?id=WDU19800070018

【ISAP “Dz.U. 1990 nr 10 poz. 60”】
https://isap.sejm.gov.pl/isap.nsf/DocDetails.xsp?id=WDU19900100060

【ポズナン市 “Poznańska Skałka”】
https://www.poznan.pl/mim/bm/news/poznanska-skalka,138495.html

【Muzeum Historii Polski “Mazurek Dąbrowskiego”】
https://muzhp.pl/pl/c/2316/mazurek-dabrowskiego

【Muzeum Historii Polski “Józef Wybicki – pakiet edukacyjny”】
https://muzhp.pl/pl/c/2694/jozef-wybicki-pakiet-edukacyjny

【Muzeum Hymnu Narodowego “Józef Wybicki”】
http://www.jozefwybicki.pl/pl/muzeum-hymnu-narodowego/jozef-wybicki/

【Muzeum Hymnu Narodowego “MAZUREK DĄBROWSKIEGO”】
http://www.jozefwybicki.pl/pl/muzeum-hymnu-narodowego/mazurek-dabrowskiego/

【Muzeum Hymnu Narodowego “Losy Mazurka Dąbrowskiego”】
http://www.jozefwybicki.pl/pl/muzeum-hymnu-narodowego/wystawy/losy-mazurka-dabrowskiego/

【Zintegrowaną Platformę Edukacyjną “Kiedy powstała Bogurodzica?”】
https://zpe.gov.pl/a/przeczytaj/D1DlrrgRo

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