自国の伝統的な音楽を活かす民謡国歌たち

国歌のメロディはその国の歴史や文化を教えてくれる。西洋調のメロディが多い中、自国の伝統音楽を活かした物があります。今回はそんな民謡国歌をご紹介します。

ガンビア国歌『わが祖国ガンビアのために』

作詞したバージニア・ジュリア・ハウは適切な国歌の提案を行う委員会の委員長に任命された人物でした。採用者には賞金が出されるということで多くの候補が集まったが、当時の内閣は全てを不適切なものとして却下。代わりに彼が全てを用意するようにと指示があったと本人が振り返っています。

そして採用されたのが彼の妻であるジェレミー・フレデリック・ハウでした。彼女は夫が作った歌詞に合わせガンビアの民謡「Foday Kaba Dumbuya」を基にメロディを作成。夫婦で制作された珍しい国歌です。Foday Kabaは同国の英雄的存在で、伝統楽器コラで奏でられるこの曲を是非聞いて頂きたい。

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ポーランド共和国国歌『ドンブロフスキのマズルカ』

曲名にも書かれていて同曲のメロディであるマズルカは、ポーランド中部のマゾヴィア民族舞踊の伝統的なメロディの様式から生まれたものと言われています。三拍子が特徴で2番目または3番目のビートに不規則に強いアクセントが置かれています。ポーランド関連のイベントに行くと三拍子のリズムに合わせ長めのスカートを使った伝統舞踊を見ることが出来ます。

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スロバキア国歌『稲妻がタトラの上を走り去り』

スロバキア民謡の「彼女は小さな井戸を掘った」(Kopala studienku) のメロディを使っています。民謡の方の内容は女の子が浅い井戸でクジャクと遊ぶという内容です。かなりざっくりです。英訳の歌詞を読むと

She was digging a well, looking into it,

If it is so deep, as it is wide,

I’d jump into it, ey, I’d jump into it.

「自殺の話!?」とも読みとれますが、井戸は浅いもので飛び込んでも大丈夫な物と解釈されることが多いようです。

 

「彼女は小さな井戸を掘った」(Kopala studienku)がこちら

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スウェーデン国歌『古き自由な北の国』

こちらも同国の民謡を編曲し作られた国歌です。ゆったりとしたメロディのため新しい国歌を作ろうと何度か提案がありましたがどれも浸透することがなく選ばれませんでした。その地に古くから根付いたメロディが一番いいのかもしれません。新しい国歌を作ろうという意見が出るにはもう1つ原因があります。それは法的に国歌としてこの歌が認められていないからです。2000年、法的に正式な状態にする提案を「不要」を審議委員会が拒否したという歴史があります。

「政治体制ではなく、民衆によって国歌として確立されており、それを維持するのが良い」と委員会は結論付けました。

確かに歌うのは国民であり国が決めるべきことではないという意見も一理あります。

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