向こうでは常識 日本では驚き 知っておきたい国歌の常識
場所が変われば常識が非常識に
海外に出かけた際、日本では普通のことが海外では非常識になる事というのは結構あります。例えば日本ではラーメンなどの麺類を音をたてて食べますが(むしろ音をたてることが大事)、西洋文化から見ると行儀が悪く見られるというのは有名な話^^
できれば仕事や旅行に行く際にはその国の常識は知っておきたいものです。特にタブーは押さえておきたいですね。大きなトラブルの原因にもなります。国歌にも常識やタブーがあるのはご存知でしょうか?
映画上映前は起立! ~インド~
映画上映前に国歌が流れる映画館があります。その際は起立することをお勧めします。法律上は国歌が流れる際立たなくてはいけないという記載はありませんが、大半の人は立ち上がります。筆者がインドに行った際、何箇所か映画館に行きましたが国歌は流れませんでした。なので全ての映画館ではないですが注意が必要です。先日も商業都市として世界的にも知られたインド西部の都市ムンバイの映画館で事件がありました。国歌が流れた際、起立しなかった家族が他の客から詰め寄られ映画館を追い出されてしまいます。この事件は動画がとられネット上で拡散したためマスコミも大きく報じました。
ムンバイの事件に関してはこちらで詳しく紹介していますのでご覧ください。
(イノベーションズアイ)
1日2回は直立不動 ~タイ王国~
毎日8時と18時に空港や駅などの公共施設、公園、テレビなどで流れます。それだけでもビックリなんですが、国歌が流れている間、直立不動でいなければいけません。ただ安心してください。歌わなくても大丈夫!直立不動でいないと不敬罪で警察のお世話になる場合もあります。ただ自動車などの運転しているなどの時は許されます。でもちょっと急に流れたらビックリしますね。このルールは外国人には寛容的な様です。突然立ち上がる人々を見て驚く旅行者の動画がよくネットであがっています。そりゃそうですよね。突然、周りの人が立ち上がって動かなくなるんですから^^;
でもこの常識を知っていれば現地の人たちからの心証がいいことは言うまでもありません。
絶対に歌ってはいけない1番 ~ドイツ連邦共和国~
ドイツ国歌は3番まで歌詞がありますが、国歌として憲法で定められているのは3番のみです。2番はドイツの女性やワインを讃える内容で、国歌としては不適切な歌詞として採用されませんでした。まぁこちらは歌っても構わないのですが、問題は1番です。これはぜっっったいにドイツで歌わないでください!冒頭はこのような歌詞で始まります。
「ドイツ、ドイツよ全ての上にあれ」
この国際協調が大事にされている時代には合わない歌詞です。しかし近代においてこれが国歌として歌われた時代がありました。それがヒトラー率いるナチスがドイツを動かしていた時代です。彼らは国威掲揚を目的に1番を国歌としました。以前、ドイツから日本に帰る飛行機で70歳過ぎに見えるドイツ人が隣に座りました。そこで歌えるようにしていた1番を彼に披露すると表情をこわばらせ
「それは絶対に歌っちゃいかん」
と言って私を睨みました。当時歌詞の意味を調べずカタカナで覚えていただけだったのです。ドイツでは鍵十字(ナチスの象徴)を堂々と見せて歩くのもタブー。最近までヒトラーが書いた『わが闘争』も禁書とされていたくらいです。
現地で歌ったら大変なことになる・・・かも? ~パレスチナ暫定自治政府~
会った国の人に自国の国歌を歌ってもらいそれを録音するためボイスレコーダーを持ち歩いています。2010年イスラエルによる入植地政策が行われ土地を奪われているパレスチナに行きました。まだアラブの春が起こる前のこと。パエスチナの中でも頻繁にデモが起こるラマラという村で出会った男性に国歌を歌って欲しいとお願いしました。彼は快諾してくれ歌いだしたのですが、周りの人たちが集まりいつの間にか20人以上の大合唱に。近くにイスラエルの基地がありそんな合唱が行われていることは異常事態に見えるに違いありません。筆者は怖くなり「ストップ!ストップ!!」と言い続けましたが彼らは歌う事をやめませんでした。むしろ人が増えどんどん声のボリュームがあがっていきます。パレスチナは国際的にはオブザーバーとして国連に認められていますが、一国として認められているわけではありません。しかし声が大きすぎ音割れした音源を聞くと彼らの強いプライドを感じることができます。今ではいい思い出ですが、もしイスラエル兵がパレスチナ国歌の大合唱をデモと思い鎮圧に来たら大変なことになっていました。自分だけでなく歌ってくれた彼らが死ぬ可能性さえあるのですから。
国歌だからこそ気をつけたい
国歌という特性上、思想が強く出てしまうのは当然のこと。そのため扱いには注意が必要です。ただ、歌詞の内容や成り立ちなどを知っておけばある程度のトラブルは防げます。使い方を間違えなければ国歌は素敵なコミュニケーションツールになるので恐れずどんどん活用していただけたらなと思います^^