スイス国歌変更!? 結果発表! 意外な結果に主催団体代表者は大歓迎。その理由は??
国民に不人気な国歌
スイス国歌が変わるかもしれない・・・そんな記事を以前載せたことを覚えていますか?
スイス国内で現在の国歌は人気がありません。歌詞に”夕日”や”雲”といった空に関する単語が多いことから「天気予報みたい」
またキリスト教を連想させる内容から「宗教色が強すぎる」という意見があります。
確かに様々な人種が共存するスイスで現国歌のキリスト教色の強い歌詞は合わないのかも。メロディも「賛美歌みたいでイヤ」という人もいるようです。国歌を歌ってもらいボイスレコーダーで録音する活動をする中で、自国の国歌が歌えないという人がいました。スイスもそのうちの一つです。自国の国歌を歌えないのは不人気という背景もあるのでしょう。
ついに決定?新国歌の歌詞・メロディ発表!!
そんな国歌を変えようと民間団体が新国歌を公募しました。集まったのは208作品。そこからファイナルステージまで残った3作品をネット投票にかけていました。昨年の7月に公募を締め切ってから1年以上。昨日21日、ついに投票結果が発表されたわけです!!発表はアールガウ州のアーラウで行われたスイス国際フォーク音楽祭の中で選ばれた1曲が合唱されました。選ばれた曲の歌詞がコチラ!
赤い背景に白十字、
私たちの団結の象徴
自由、独立、平和
公然と我々が生きる世界のために、
正義を求める
自由、自由を行使し
強き国民は弱者を支える。
赤い背景に白十字、
私たちは一斉に一緒に歌う
この歌詞はドイツ語を訳したものです。(時間が経てばもっと良質な訳文が出ると思います^^;)公用語である4カ国の言語それぞれの歌詞があるスイス国歌。メロディに合わせるため各言語によって若干内容が変わります。他の言語の歌詞も見ましたが批判のあった風景描写や宗教色は一切無くなりました。この歌詞を書いたチューリッヒ州Zollikerberg在住のヴェルナー・ウィドマー氏(62)は歌詞にスイス連邦憲法の前文からインスピレーションを受けたと言っています。(彼は大学の講師や州立病院の会長を勤める人物だそうで、作詞作曲が本職ではないよう)前文は下記のとおり。
全能の神の名において!
スイス国民及び州は、被造物に対する責任を自覚し、
世界に対する連帯及び開放の精神において、
自由及び民主主義並びに独立及び平和を強化するために同盟を刷新することを決意し、
相互に配慮し、尊重しつつ統一の中の多様性の下に生きる意思を有し、
共同の成果及び将来世代に対する責任を自覚し、
自由を行使する者のみが自由であるということ及び
国民の強さは弱者の幸福によって測られるということを確信し、
次のとおり、憲法を制定する。
(国立国会図書館調査及び立法考査局,2012,各国憲法集(6)スイス憲法)
意外だったのは、今回選ばれた曲のメロディが現在の国歌と同じだったこと!
スイス国民は周りが言うほど自国の国歌が嫌いじゃないのかもしれません。
不満が多かったのは歌詞だったというのもこれで分かりますね。
個人的にスイス国歌のメロディが好きだったのでうれしいのです!!
実はこの結果に喜んでいる人がもう一人。それはこの新国歌プロジェクトのスタッフです。
メロディが変わらなかったことに対しプロジェクトマネージャーは、
議会や政府、国民に変更を説得しやすいと述べています。
確かに大きな変更は議会なども躊躇するでしょうし、
現在の国歌が好きな人にもメロディを残したことで説得の余地を残したといえます。
今回の取り組みを批判する人も少なくなく、候補作品に対して
「(候補となっている曲は)ホットドッグをグリルで焼く間、キャンプファイアのまわりで歌うことができる歌」
と言う人もいました。
でもメロディが変わらないのであればこのような反感は無くなります。
プロジェクトとしてもここまできたら議会で変更を通し、
国民投票で新国歌に認定してもらいたいですもんね。
次は議会に国民投票。国歌変更のプロセスはこれからが本番!
まだまだスイス国歌変更の動向から目と耳が離せません!!
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