アルジェリア民主人民共和国 国歌「誓い」

アルジェリア民主人民共和国 国歌「誓い」

タイトル

قسما(クァサマン)/誓い

作詞

مفدي زكرياء/ ムフディド ザカリア

1908年生まれのアルジェリア人。現在、彼の功績を讃え、同名の空港ガルダイア – ヌメラ – ムフディド ザカリア空港があったり、学校、通りがある。記念切手として販売もされた。1977年にチュニジアで亡くなったが、遺体はアルジェリアに埋葬されている。

作曲

محمد فوزي عبدالعال/ムハンマド ファウジ

1918年生まれのエジプト人作曲家。首都アルジェに彼の名前がつけられた高等国立音楽研究所がある。2017年には国家功労勲章を贈られた(故人であったため孫が受け取っている)。

Mohamed Trikiが作曲し、ムハンマド ファウジが修正したという説あり。

採用年

1962年7月~1963年採用。

憲法上は2008年11月の改定で明記された。法律では1986年3月11日に施行された大統領令86-45号があることが官報で確認。

成り立ち

1830年よりフランスの植民地だったが第一次世界大戦後に独立運動が活発化し、1954年にはアルジェリア民族解放戦線が結成され独立戦争が始まる。そんな戦乱のさなかだった1956年に独立運動を行っていたアルジェリア解放戦線(FLN)がアルジェリア人のムフディド ザカリアに歌詞作成を依頼。ザカリアは首都アルジェにある Serkaji ex-Barberousse刑務所にフランス植民地の軍隊によって政治犯として投獄されている最中だった。証言によると、部屋番号69番で鉛筆や紙がなかったため牢獄の壁に自らの血で書いたと言われており、第1節は依頼から1日後1956年4月25日に書き終え、翌日にはすべてを書き終えたという逸話がある。
エジプト人ジャーナリストで教授のAshraf Gharibによれば、同年ザカリアの釈放後、アルジェリア人作曲家Mohamed Toureに歌詞が届けられ作曲が行われた。作成された曲は首都のアルジェのカスバ地区にあるザカリアの自宅で録音され、FLNの指導者に提出されたが“国歌に必要な熱意が欠けている”と評価され却下。そこでザカリアは隣国チュニジアに行き、同国の著名な作曲家Mohamed Trikiに作曲を依頼。残念ながらこちらもFLN指導者から却下された(理由は1つの曲に2つのメロディがあったからだと言われている)。

そこで今度はエジプトへ行き、FLNの情報の発信元になっていたラジオ局「アラブ人の声」の局長Ahmed Saeedに相談する。そこで彼に紹介されたのが作曲家モハメド・ファウジだった。その日偶然局に来ていたファウジは詩を見て興奮し作曲を引き受け、2時間後にはメロディを完成させたという。彼はメロディを守るために一部の歌詞を修正したと言われる。謝礼金は受け取らず、アルジェリア革命への寄付としてポケットマネーで音楽バンドに演奏代まで払ったという。
1962年から1963年の間で国歌として採用された。

※5番全てを歌うことが義務化されて以降、Mohamed Trikiが作曲したという話が大使館サイトで掲載される様になった。

EXCELSIOR

アルジェリア憲法第一章第5項2で国歌として下記の通り定められている。

国章と国歌は、1954年11月1日の革命の成果である。それらは不変である。これら二つの革命の象徴は、共和国の象徴となった後、次のような特徴を有するものとする。
1. 国章は、緑と白を基調とし、中央に星と三日月を配したものとする。
2. 国歌は、すべての節を含む「誓い」とする。

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国会の閉会式ではコーランを読み上げた後、国歌が歌われる。

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歌詞は5番まである。

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歌う際は起立し右手を左胸に当てて歌う。

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前奏はミッキーマウスマーチに似ていると言われることが多い。

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2017年、作曲家の孫であるMounir Mohamed Fawzi Al-Hawは曲の著作権を放棄し、国に譲ることを認める署名をしている。しかし、2019年フランスの著作権管理組織がアルジェリア国歌の著作権を持っていることが判明し話題になった。

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ラジオとテレビで毎日放送される。

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2023年5月21日に施行された大統領令23-195号によって国歌のフルバージョンを演奏する機会が増やされた(それまで大統領の宣誓式と国会の開会と閉会時のみ)。これまでフランスを名指しで批判する内容があるため3節の使用は控えられていた。

歌詞 日本語訳

بالنازلاتالماحقاتقسما
والدماءالزاكياتالطاهرات
والبنوداللامعاتالخافقات
فيالجبالالشامخاتالشاهقات
نحنثرنافحياةأوممات
وعقدناالعزمأنتحياالجزائر
فاشهدوا…فاشهدوا…فاشهدوا…

歌詞 日本語訳

私たちは誓う 破壊する稲妻にかけて
多くの流された血の流れにかけて
高山で誇らしげにたなびく
栄光ある旗にかけて
私たちは生死を問わず反抗をする
私たちはアルジェリアが
栄えるべきだと決意した
だから 我らの証人となれ 我らの証人となれ 我らの証人となれ

(出典:“駐南アフリカ アルジェリア大使館”の英文を和訳)

歌詞 カタカナ読み

クァサマーン ビンナジ ラティマヒクァート
ワッディマー インザキ ヤッティタヒラート
ワルブヌードィラミ  ア゛トゥリハフィクァート
フィリジバリ シャミハトゥ シャヒクァート
ナハヌ スゥルナ ファーハヤートゥン アウママート
ワーア゛クァッ(ドナ) ア゛ズマ  アンタヘヤル ジャザーーエル
ファシャドゥ ファシャドゥ ファシャドゥ

国歌に関するリンク

People’s Democratic Republic of Algeria Embassy of Algeria in Pretoria The National Anthem”】

【Embassy of Algeria – Nairobi ”The National Anthem”】

【CONSTITUTE 】 

【الشروق أونلاين “لحن “قسما” في ساعتين وأهداه إلى الجزائر والثوار مجانا”】

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