国歌を通して見る東京オリンピック2020 【前編】

賛否両論あった東京オリンピックが8日閉幕しました。過去のオリンピックを振り返ると国歌のかけ間違いがあったりする中、東京オリンピックではそのような問題は起こらず良い大会でした。しかし何もなかったかといえばそうではありません。

珍事、疑惑、感動・・・国歌を通して見えてくる東京2020

表彰式でイスラエル国歌が流れたことで映画音楽の盗作疑惑が浮上

スポーツとは関係のないところで、しかも流れた国歌とは関係のない国で表彰式が話題になりました。

東京オリンピック・体操男子ゆか、イスラエルのアルチョム・ドルゴピャトが金メダルを獲得。表彰式ではイスラエル国歌希望が流れ、イスラエル体操史上初ということもあり、イスラエルでは大盛り上がり。しかし、この表彰式を別の角度から見ていた国がありました。インドのSNS上で、こんなコメントが・・・

「イスラエル国歌が、Diljaleの『Mera Mulk MeraDesh』に似ている」

Diljaleは1996年に公開されたインド映画で、『Mera Mulk MeraDesh』はその挿入歌です。

https://www.youtube.com/watch?v=yVCXfBRev3M
(22秒~疑惑の曲『Mera Mulk MeraDesh』が流れる)

似てます。というかまんま。
イスラエルの国歌を盗用したとして作曲をしたAnu Malikに非難の声が上がっています。Anu Malikは数々の名曲を作曲してきたインド音楽界の大御所。その一方で近年の“Me too”運動で複数の女優からセクハラで訴えられています。
小山田さんはオリンピックがキッカケで、スポーツとは関係のないことが掘り返されたわけですが、彼はオリンピックによってスポーツとは無縁の仕事を掘り返されてしまいました。しかも、自国ではない国の選手の表彰式によって・・・

香港で去年施行された国歌条例適用で初の逮捕者

表彰式がキッカケで悲しい出来事もありました。

2020年6月香港で、中国の象徴を侮辱することを禁じる“国歌条例”が施行しました。この条例が初めて適応され逮捕者が出たわけですが、きっかけはオリンピックです。
7月26日、フェンシングで金メダルを獲得した香港代表の張家朗の表彰式で中国国歌『義勇軍行進曲』が流れた際に、パブリックビューイングで見ていた人たちがブーイングをするという事件がありました。事件の詳細やその時の様子を詳しく知りたい方は『東京オリンピックで国歌演奏ミス!?香港でブーイングが起こった中国国歌演奏問題を検証』を御覧ください。
その後、香港警察が国歌を侮辱したとして、40歳の男性を逮捕したと発表。警察は会見で「憎悪をあおり、スポーツを政治化した」と批判しました。同条例は最高で禁錮3年を科される可能性があります。

 

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