ベトナム国歌の著作権問題
「進軍歌」は個人の物?
先月末、ベトナム国歌「進軍歌」の著作権が個人から国に引き渡されるかも・・・とベトナムのメディアTHANHNIEN NEWSが報じました。
記事によると、ベトナムの文化スポーツ観光省が日本のジャスラックに当たるベトナム音楽著作権保護センターに「進軍歌」の著作権料徴収を中止するよう要請したという。「進軍歌」の著作権は作詞作曲を行った故ヴァン・カオの妻であるギエム・トゥイ・バンが持っていました。報道によるとその妻が2010年に国民、共産党、国会、政府に寄贈したいと申し出たことから今回の徴収中止要請に至ったとのこと。多くの国の国歌はパブリックドメイン(知的創作物について、知的財産権が発生していない又は消滅した状態)で自由に使うことが出来ます。もちろん、自由と言っても国の象徴ですので敬意を持って扱う必要がありますが・・・
国歌の著作権問題はお隣韓国でも・・・
しかし、このように国歌の著作権を個人で管理していた例はお隣の韓国でもありました。
2006年、著作権が切れる2015年まで韓国政府が著作権料を作曲者の遺族に支払い続け、最終的に政府が権利を買い取る方向で調整していたのですが・・・国歌『愛国歌』の年間著作権使用料として1992年から50~80万円を毎年遺族が受け取っていることを知った韓国世論が猛反発。国民のものであると思っていた国歌に著作権が発生していて、税金が使用料に使われいたことに対する不満が広がりました。スペインに住む作曲者、安益泰の遺族が祖国の騒ぎを聞き、先祖である安に独立義士(独立の英雄)の称号を与えることを条件に著作権を韓国政府に寄付することを提案。政府は承諾して韓国の著作権問題は揉めることなく決着しています。
宙に浮くベトナム国歌
しかしベトナム国歌をめぐっては難航しそうだ。ヴァン・カオの息子であるバン・タオは、著作権の譲渡は母親が勝手に決めたことで、家族の同意が必要だと主張している。家族が一枚岩でないというのが面倒なところ。
「この家族仲が悪いのかしら」
なんてワイドショーが大好きなネタですね^^;
息子は取材に対して譲渡に賛成するとしつつ、文化スポーツ観光省が管理することに対し不満を語っています。国会で国歌として採用されたものならば、国会と政府が家族と話し合うべきで、国歌の権利をどのように国が受領するかを、明らかにすべきだと。確かに、国の歌とはいえ国歌も創造物です。権利者が著作権料を受け取るというのは理解できます。でも国際イベントで国歌が流れるたびに「税金かかってるなぁ~」って考えるも嫌ですね。国の象徴だけに権利とかお金とか考えないようにしたいものです。