東京オリンピックも要注意! 国歌のやっちゃいけないコト 後編

前編は国歌を流す場合のミスがメインでしたが、後編は歌い手のミスや注意をご紹介します!

アレンジを加えすぎてはなりませね

2018年2月、アメリカの有名女性ヴォーカル ファーギーがジャズやR&B風にアレンジしたアメリカ国歌をNBAの試合前に披露してSNS上で誹謗中傷を浴びました。彼女は「私は国歌斉唱を務めさせてもらうことをいつも名誉に感じ、誇らしく思ってきました。そして昨夜はNBAのために何か特別な事がしたかったんです。私は芸術面ではいつもリスクを恐れない性格ですが、今回は明らかに意図していたものとは違うものになってしまいました。私はこの国を愛していますし、今回も嘘偽りなく最善を尽くしました」と自身のウェブサイトで声明を発表。

昨年8月にはトリニダード・トバゴで行われたカリブ芸術祭の閉会式で歌われたアレンジ国歌を同国の大統領が「国歌はオリジナルで歌われるべき・・・公式の場ならなおさらだ」と批判。大統領の声明を受けイベントプロデューサーは「大統領の知恵に同意し、将来の努力において適切な行動を取ります」とコメントしました。

そして今年2月28日にはクロアチアの大御所歌手ジョシパ・リサックさんが大統領宣誓式で大胆なアレンジを加え国歌を熱唱。そのアレンジ国歌が国を侮辱したとして弁護士の男性が彼女を訴えました。同国のアーティスト協会と彼女が所属するレーベルは表現の自由の侵害と声明。クロアチア刑法349条では国歌への軽視は1年未満の懲役と定められています。

アレンジされた国歌の中には高く評価されているものも数多くあります。個人的には国歌は様々な歌い方が認められるほど自由があっても良いのではないかと思っていますが・・・これらの事例のようにアレンジをすることで世間からバッシングを受けることもしばしばです。日本では忌野清志郎さんが君が代に大胆なアレンジを加え販売自粛まで追い込まれました。

歌詞を間違って歌ってはなりませぬ

日本のように短い君が代を国歌としている私達には信じられないことですが、時々起こります。

2018年12月、ベネズエラの歌手がスポーツイベントの開始前に自国国歌を斉唱したのですが、
「恐ろしい夜は終わった! 崇高な自由」
と歌うところを
「恐ろしい夜は終わった! 崇高な人類 」
と間違えてしまいSNS上で多くの人に叩かれました。

もっとひどいのは昨年4月、南アフリカのポップシンガーKurt Darrenがラグビーの試合前の独唱で前半のソト語部分を忘れてしまい勝手に変えて歌ってしまう事件がありました。動画を見ると選手もビックリしている様子がわかります。彼は試合後にラジオに出演し「緊張してしまって」と弁明したそうです。国歌の歌詞を勝手に変えるのはすごいですね。

いい加減な態度で歌ってはなりませぬ

ここ数年で国歌を始め国の象徴に対する不敬を罪にとう法律が各国で作られています。

2018年10月にはモンテネグロが国歌演奏中に立ち上がらなければ、300〜2000ユーロの罰金をかける法改正が成立。これは外国人にも適用されるので要注意です。

背景には第2次世界大戦中にイタリア占領軍に協力したとされる同国の指導者、セクラ・ドルリェビッチが一部の歌詞を書いたことを理由に起立しない人がいました。他のバルカン諸国は未だこの類のペナルティを規定していません。

すでにある国が改めて情報を発信することありました。

今年1月にはフィリピンの国歌歴史委員会が国歌に対する姿勢や罰則に関して周知を目的とした発表を行いました。同国では国歌を流しながら踊る男性の動画が問題となっていて、これを受けて改めて国歌に対する姿勢を国内に発信したかたちです。法律の規則に対する違反はP5,000からP20,000(1万~4万円)の罰金または1年以下の懲役につながる可能性があります。海外に行かれた際はご注意を!