オーストラリア連邦国歌「進め 美しのオーストラリア」
オーストラリア連邦 国歌「進め 美しのオーストラリア」
タイトル
Advance Australia Fair (アドバンス・オーストラリア・フェア)/進め 美しのオーストラリア(確認中)
日本語訳が紹介される場合、ほとんど英語のカタカナ表記。信頼できる情報ソースから日本語訳を得ることができなかった。 “Fair”の訳し方が2つに分かれる。
作詞
Peter Dodds McCormick (日本語読み確認中)
1834年スコットランド生まれの作曲家。1855年2月21日にシドニーに移住。学校での教師や教会で要職を歴任。多くの聖歌隊を作った功績がある。そんな中楽曲制作にも努め、30ほどの愛国的なスコットランドの歌を作成。その中の1つが『Advance Australia Fair』だった。1916年10月30日にウェイバリーの自宅で逝去し、ルックウッド墓地に埋葬された。
シドニーにあるスコッツ長老派教会のエントランスホールには、彼の献身的なサポートを評したプレートが飾られている。
作曲
同上
採用年
1984年4月19日
成り立ち
オーストラリア独自の国歌が存在しなかった時代、スコットランド人でシドニーに移住していたPeter Dodds McCormickは、ある日国歌が演奏されたコンサートに出席した。彼は「オーストラリアのための楽譜が一つもない」と憤り、コンサート帰りのバスの中で『Advance Australia Fair』の第1節を完成させた。原曲は4節ある(5節という説も)。1878年11月30日の聖アンデレの日にシドニーで最初に演奏され、1901年1月1日にはキャンベラで行われたオーストラリア連邦誕生式典で10000人の合唱団によって修正版が歌われた。1907年、オーストラリア政府はPeter Dodds McCormickに功績を讃え100ポンドを授与。1915年9月3日、Peter Dodds McCormickは正式に著作権を登録した。しかし、『Advance Australia Fair』が国歌として採用されるまで多くの時間を要すこととなる。
1901年から『神よ国王を護り賜え』を国歌として歌っていたが、2つの大戦や1956年にオリンピック史上南半球で初めて開催されたメルボルン大会開催などを経て、独自の国歌制定の議論が行われる。
1973年にオーストラリア芸術評議会が新しい国歌を決めるためコンペティションを開催。歌詞に1400以上、音楽に1200以上の応募があったが、審査員は以前から歌われていた『Advance Australia Fair』『Waltzing Matilda』『Song of Australia』の高い基準を満たしていないと判断。評議会は、この3つの曲から国歌を選ぶように勧告した。
1974年2月、統計局が6万人を対象に行った全国世論調査を実行し、『Advance Australia Fair』が51.4%の人に、『Waltzing Matilda』が19.6%の人に支持されていることが判明。この結果を受け、同年4月8日オーストラリア議会は、『Advance Australia Fair』を国歌に採用した。
しかし、1976年にオーストラリア史上最大とも言える事件の発生によって国歌の運命も翻弄される。『Advance Australia Fair』を採用したイギリスと距離を置く政策を行っていたホイットラム首相が当時の提督によって解任され、マルコム・フレーザーが新しく首相に就いた。その結果、同年『神よ女王を護り賜え』が国歌に返り咲く。ただ、国民の間で愛されている曲を無下にすることができず、政府は民間のイベントでは『Advance Australia Fair』『Waltzing Matilda』『Song of Australia』を含む4曲から選んで演奏することを認めた。前年自国のモントリオールで行われたオリンピックによって国歌の問題が再燃する。
翌年の1977年、国民の新しい国歌への期待の声を無視できず、オーストラリア選挙管理局が世論調査を実施。『Advance Australia Fair』が43.6%の支持を受け(『Waltzing Matilda』『God Save the Queen』『Song of Australia』の順だった)、国歌としてふさわしい曲に選ばれる。
1981年、ナショナル・オーストラリア・デー評議会が国歌を『Advance Australia Fair』の歌詞の一部を修正し、第1節と第2節で構成するよう提案。
1984年4月19日、当時の総督だったNinian Martin Stephenは、ナショナル・オーストラリア・デー評議会が起草した『Advance Australia Fair』と2節をオーストラリア国歌にすることを宣言する。この時ジェンダーの平等性の観点から2箇所の“SONS”の単語が変更されている。
2021年1月1日より、先住民へ配慮するべきという声の高まりを受け、オーストラリア国歌の2行目の歌詞が「For we are young and free」から「For we are one and free」への修正がDavid Hurley総督より宣言された。
EXCELSIOR
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憲法には国歌に関する記載なし。
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法律ではタイトルや歌詞が明記されている。
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内閣府HPではプロトコルとして下記が記載されている。
①通常オーストラリア国歌の第1節のみが使用されるが、両方の節を使用することもできる。
②式典や公共のイベントでオーストラリア国歌が演奏される場合は、起立するのが一般的。
③イベントの主催者は、イベント中に国歌を演奏するタイミングを選ぶことができる。
④曲調やテンポ、歌詞を変更してはいけない。
⑤演奏には、どのような楽器を使用してもよい。
⑥オーストラリア国歌は英語で演奏されるのが望ましい。
⑦個人または団体は、英語以外の言語で演奏することができるが、これをオーストラリア国歌のものとして表現してはならない。そのため、この場合、曲が演奏される際には立ち上がる必要はない。
⑧英語以外の言語で演奏される場合は、国歌を最初に演奏するのが望ましい。
⑨オーストラリア国歌と他国の国歌が同じイベントで演奏される場合は、訪問国の国歌を先に演奏する。
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歌詞は複数回変更されている。
1度目は1984年4月19日の『Advance Australia Fair』が国歌として宣誓された際3箇所が変更された。
第1節「Australia’s sons let us rejoice」→『Australians all let us rejoice』
第3節「To make our youthful Commonwealth」→「To make this Commonwealth of ours」
第3節「For loyal sons beyond the seas」→「For those who’ve come across the seas」
2度目は2021年1月1日に修正。
第1節「young」→「one」
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2020年12月5日、国際的なスポーツイベントで初めて英語ではなく、先住民語であるエオラ族の言語で歌われた。
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著作権は制作者に対しての権利失効後に国歌として制定されているが、譲渡に関する書類が作成され政府に権利が渡されている。譲渡に関する書類はデジタル化され公開され誰でも見ることが可能。
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商業目的の使用は、内閣府次官補あてに事前申請をする必要がある。
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内閣府HPでは現在のものだけでなく、1984年制定バージョンの歌詞カードや楽譜をダウンロードできる。
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『神よ国王を護り賜え』が王室賛歌として定められており、王室メンバーが公式行事や式典に参加している際に演奏される。王室メンバーがオーストラリアに滞在の際は、最初の公務で王室賛歌を流し、最後にオーストラリア国歌を流すが両曲を同じ場で流すことも。
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現存する最古の音源は1915年に録音されたもので、NFSA(オーストラリア国立フィルム&サウンド アーカイブ)て聞くことができる。
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1866年、『Advance Australia Fair』の真の制作者はJohn Macfarlaneだと彼の孫が主張した。この主張に賛同する音楽評論家もいるが、現時点ではPeter Dodds McCormickが正式な制作者とされている。
歌詞
【1】
Australians all let us rejoice,
For we are one and free;
We’ve golden soil and wealth for toil;
Our home is girt by sea;
Our land abounds in nature’s gifts
Of beauty rich and rare;
In history’s page, let every stage
Advance Australia Fair.
In joyful strains then let us sing,
Advance Australia Fair.
【2】
Beneath our radiant Southern Cross
We’ll toil with hearts and hands;
To make this Commonwealth of ours
Renowned of all the lands;
For those who’ve come across the seas
We’ve boundless plains to share;
With courage let us all combine
To Advance Australia Fair.
In joyful strains then let us sing,
Advance Australia Fair.
歌詞 日本語訳(製作中)
歌詞 カタカナ読み(製作中)
国歌に関するリンク
【Department of the Prime Minister and Cabinet “Australian National Anthem”】
【Department of the Prime Minister and Cabinet “AUSTRALIAN NATIONAL ANTHEM PROTOCOLS”】
【Department of the Prime Minister and Cabinet “USE OF THE AUSTRALIAN NATIONAL ANTHEM”】(アーカイブ)
【State Government of Victoria “Australian national anthem: Advance Australia Fair”】
【議会教育局 “National symbols”】(アーカイブ)
【NAA “Australia’s national anthem”】
【連邦法登録簿“憲法”】
https://www.legislation.gov.au/Details/C2005Q00193
【(旧)オーストラリア外務貿易省“Proclamation of Amended Words – Australian National Anthem”】(アーカイブ)
【Reuters “Student sings Australian national anthem in indigenous language before rugby match”】
【NFSA “ADVANCE AUSTRALIA FAIR”】
【Australian Dictionary of Biography “McCormick, Peter Dodds”】
【Waverley Council “Advance Australia Fair and Peter Dodds McCormick”】