鳥年は国歌の年!? 国歌に登場する動植物たち 【動物篇】
今年は国歌に関するネタを昨年以上に発信できればと考えています。引き続き当サイトをご利用頂けたら幸いです。2017年最初の国歌ネタは、動植物が登場する国歌たちを御紹介!国を謳う国歌の中には数少ないですが動植物が登場します。
2017年は鳥(酉)年! 実は国歌で最多出演の動物
今年の干支“鳥”は国歌で最も多く使われている動物なんです。ただ、一番多いと言っても国連加盟国193カ国中、鳥を使っているのは3カ国のみ。そもそも、動植物を謳う国歌はとても稀です。国花や国鳥などを歌詞に入れている国がもっとあってもいいと思うのですが・・・
平和の象徴ハト カタール
平和の象徴であるハトを使っているのがカタールです。ハトを使っているのが1カ国しかないのが意外ですね。
カタールは父祖の国
犠牲の日には闘士になり
平和な時にはハトになる
国歌のタイトルは『平和への賛歌』。ハトを使うことで、平和を目指す同国の理念を知ることが出来ます。
”力の象徴”猛禽類を使う国歌 ザンビア
ワシが登場するのはザンビア国歌『ザンビア国歌』
高貴なるわれらがワシの舞うごとく
ザンビア きみに栄えあれ
ワシはザンビアの国鳥でもあり、自由と前進の象徴として国旗にも描かれています。
過去にワシが使われていた カザフスタン
2005年まで使われていたカザフスタン国歌『カザフスタン共和国国歌』にもワシが登場していました。
自由のワシよ
統一もとめて
高く飛べ
こちらも国旗にも登場するワシ。同国の人たちにとってワシは歴史的に重要な生き物です。カザフスタンも領土内だったモンゴル帝国ではワシが描かれた旗が使われていました。ワシはそんな歴史を誇りに思う彼らの象徴なんですね。国旗では“誇り・威厳・広い視野と洞察力の象徴”として描かれていますが、国歌も同様の意味合いを持ち加えられたと考えられます。
百獣の王ライオンを謳うセネガル国歌
動物の王といえばライオン!鳥と同率で登場が多い動物です。セネガル国歌『セネガル共和国国歌』
赤いライオンが吠えた
叢林の王者は闇を蹴散らし突進した
この部分の日本語訳にはいくつか種類があります。筆者は“赤いライオン”という部分の訳に違和感を覚え調べていますが、なぜ“赤い”なのかを明確に記載している情報はありません。今後見つかれば追記していきたいと思います。とにもかくにもライオンはセネガルで人気があるのは間違いないようです。現在の国章や変更前のものにもライオンが描かれているし、セネガル政府が出す勲章の中に“ライオン国家勲章”があります。さらに、サッカー・ナショナル・チームの名前はライオンだし、日常踊る物の中にライオンダンスという踊りがあったりするそうです。
余談ですが国歌を作曲したのは同国初代大統領のレオポルド・セダール・サンゴール。彼が独裁政治を敷いていて彼が権力を用いて歌詞を書いたということではなく、元々国際的に評価の高い詩人であったことが大きかったようです。また、この国歌の3番には鳥も登場します。
セネガルよ
(省略)
雛をトビから守って
悪者として登場するトビ。日本でもことわざでトビが使われる時は悪い意味が多いですね。
鳶が鷹を産む
鳶に油揚げをさらわれる
鳶も居ずまいから鷹に見える
などなど。
江戸時代中期に出された百科事典「和漢三才図会」の中でトビは以下のように紹介されています。
鳶の尾羽で矢羽を造りこれを磯鷲羽(いそわしは)というが、もっとも下級品である。風が吹けば高く飛び舞い、つねに鳥の雛、猫の児などを捉え、あるいは人が手に持っている魚物や豆腐などを掴む。すべて鳶、鴉は害あって益なく、しかも多くいる鳥で、人に憎まれるものである。
日本とセネガルは およそ14000キロもの距離があるにもかかわらずトビの捉え方が似ているのが興味深いですね。
チュニジア国歌『祖国の防衛者』
我らは戦うライオン
ライオンの強さを見せつけよう
チュニジアやアルジェリアなどマグレブ諸国で生息していた大型のライオン、バーバリライオンがいますが、どうやらこれとは関係なく力の象徴として書かれているようです。国歌はフランスからの独立闘争において、いかに勇敢にチュニジア人が闘ったかが語られていて、ライオンが歌い手の気持ちを鼓舞します。
チュニジア国歌の詳細はこちら!
また1956年から2度国章が変更されていますが、ライオンは消えることなく今でも描かれていることからも同国でライオンが重要なものであることがうかがえますね。
ライオンを使用している国がもう1カ国あるのですが、そちらは後篇をお楽しみに。次回は植物とも変わった生き物が登場する国歌をご紹介します!今回掲載する歌詞は悠書社が出版している『世界の国歌総覧』から引用させて頂きました