北朝鮮産ビール「大同江ビール」 そのお味は?

貴重な北朝鮮ビールをいただきました!

韓国の大学を卒業し、現在日本の大学に所属する学生が「北朝鮮ビールを飲む会」を御茶ノ水で開催。北朝鮮産ビールだけでなく様々な国のビールが並べられました。

5カ国5種類のビール

5カ国5種類のビール

まず北朝鮮にビール工場があるということに驚きです。名前は大同江ビール。現地の言葉でテドンガン メクチュといいます。

2本持ってきてくれました

2本持ってきてくれました

早速飲んだ感想ですが、辛口、すっきりとした味わいで後味はありません。近い味だと中国の青島ビールのよう。ビールが苦手という人でも飲みやすいと思います。

琥珀色

琥珀色

アルコール度数は5.5%とやや高め。珍しいと思ったのは保存方法。「日なたを避けて・・・」などはよくありますが、しっかり温度まで記載されているのは見かけません。

北朝鮮

けっこうアバウトです(笑)

5~15度ということは涼しいところに保存ということですね

なぜ北朝鮮にビールが?大同江ビール誕生のワケ

大同江とは北朝鮮にある川の名前で、大同江が流れる首都のピョンヤンに工場があることでこの名がついています。大同江上流の地下水、両江道という地区で取れるホップを使って生産するという紛れも無い北朝鮮産ビール。しかし経済的にダントツで発展している韓国ビールよりおいしいと言われています。そもそも朝鮮半島でビールの生産が始まったのは太平洋戦争後で、その歴史は浅い。ではなぜビール文化が無い北朝鮮でクオリティの高い物を生産できるのか?

2002年、北朝鮮は180年の伝統を持つアッシャーズというイギリスの醸造場が閉鎖する際に買収。故金正日総書記の指示の元、イギリスにあった工場を解体し、ピョンヤンで工場組み立て直したのです。そのためイギリスのビールにも似ているらしく海外での評判は上々なんだとか。容量は650ml。日本には無い規格。

北朝鮮 (3)

日本では見ないビンのサイズ

日本の大瓶は633ml。味はともかく、数字の切れの良さなら北朝鮮のビールに賞杯!

北朝鮮産”大同江ビール”の入手方法

かつて韓国でも購入することが出来たそうですが現在は制裁措置で輸入が中断されています。ではどうやったら手に入れることが出来るのか?

残念ながら日本では購入することが出来ません。今回ビールを用意してくれた学生は韓国に住む知り合いから手に入れたそうです。持ってきた学生曰く韓国でも通常では買えないんだとか・・・ではどうやって今回手に入れることが出来たのでしょうか?

ケソン工業団地

北朝鮮にあるケソン工業地区という韓国の工場が操業されている経済特区内にある工業団地です。北朝鮮との緊張緩和政策だった太陽政策の象徴として実現され現在も稼動しています。そこで働く韓国人は団地内にある購買施設で1日1本買うことが許されているそうで、今回はそこで購入したものを日本に持ってきたとの事でした。日本円で1本400~500円。

真ん中の黄色い円で囲まれた白抜きの数字に注目

真ん中の黄色い円で囲まれた白抜きの数字に注目

上の写真を見るとビール名の下に数字が書いてあるのが分かるでしょうか?実はこれ意味があって、”②”というのは国外輸出用。”①”は国内販売用で②のほうが質がいいんだとか・・・でも①は北朝鮮国内でしか購入できないので味の質に関しては予測の域を出ません。入手が難しいと言われるとより欲しくなるのが人の性。ビールは豊かな水資源があるからこそ生産が出来るもの。北朝鮮は自然を多く残し、それを観光資源にして中国などから観光客を呼んでいます。国歌「愛国歌」は、そんな豊かな自然を称えていますが、この作曲者朴世永は映画「パッチギ」の主題歌でも使われた「イムジン川」を制作した人物としても知られた人物。同曲は、イムジン川を境に南北に分断された祖国を憂い、水鳥が自由に行き来する姿を見て「だれが祖国を分けたのか」と歌います。現在北朝鮮は鎖国政策を敷き、オープンな国とはいえませんが、いつの日か朝鮮民族悲願の統一がなされ、互いの国のビールを気軽に飲み合う社会になってほしいです。ちなみにこの日の会では韓国のビールが出されたが個人的にはいただけない味でした。例えるならゴムを呑むような・・・表現しがたい。イムジン川は経済格差だけでなくビールの味にも格差を生んでいるようです。

朝鮮民主主義人民共和国国歌の情報は→コチラ