コロンビア共和国 国歌「コロンビア国歌」

コロンビア共和国 国歌「コロンビア国歌」

タイトル

Himno Nacional de Colombia(ヒンノ ナショナル デ コロンビア)/コロンビア国歌

時折、『Marcha Triunfal』『HimnoPatriótico』がタイトルとして紹介されることがあるが、これらは非公式のもの。

作詞

Rafael Núñez /ラファエル・ヌニェス

1825年9月28日にカルタヘナ・デ・インディアス生まれ。初代大統領で、その後も3度大統領に就いたことから“エル・レジェネラドール”と呼ばれる。
1840年、カタルヘナ大学で法学を学び45年に卒業し弁護士になる。更に地元で、新聞LaDemocraciaの設立に関わった。1849年、わずか24歳でカルタヘナ・デ・インディアス国立大学の学長に任命され、直後にボリバル州知事に就任する。その後、パナマにてヌエバ・グラナダ共和国の副大統領の妻の妹と結婚(のちに離婚し、再婚した別の女性と生涯をともにした)。副大統領の支援を得て共和国議会議員に選出された。政府長官、陸軍長官、財務省長官を歴任。1876年から78年まで行われた内戦時はリベラル派のリーダーとして頭角を現し、終戦後、大統領から財務長官への任命を経て1880年4月8日から82年4月1日までコロンビア合衆国の大統領を務めた。その後、1884-1886、1887-1888、1892-1894と3度大統領に就任している。1894年9月18日、カルタヘナ・デ・インディアスのエル・カブレロで逝去した。

作曲

Oreste Sindici /オレステ・シンディチ

1828年5月31日イタリア・チェッカーノ市生まれ。10代の頃から声楽に専念し、オペラのテノール歌手として1860年代に企業とともにアメリカ大陸ツアーに参加。コロンビアでは劇場を提供され、1865年から1年間公演したものの会社が倒産。続々とメンバーがヨーロッパに帰国する中、彼はコロンビアに残った。1866年に現地で女性と結婚し同国の国籍を取得。テノール歌手を引退し、1868年から76年まで新学校の教師、1882年からは国立音楽アカデミーで教鞭をとった。その後農業に目覚め1894年から1897年の間農業事業を行っていたが倒産。晩年の生活は貧しかったと言われている。その後、ボゴタに戻り小学校で教師を務め、1904年1月12日、同地で逝去した。

採用年

1920年10月18日

法律33によって定められた。

成り立ち

すでに、Rafael Núñezによって作られた詩が公表される中で、いくつかのメロデイがこの詩を基に作られた。そんな中、1887年に公務員として劇場ディレクターを務めていたホセ・ドミンゴ・トーレスが、自身がファンだったイタリア人のオレステ・シンディチに詩に合わせ曲を制作するよう依頼する。当初オレステ・シンディチは制作を渋ったと言われている。そこで後押ししたのが妻ジャスティナ・ヤナウだった。彼女無くして名曲は誕生しなかったと言える。依頼を受けて数カ月で曲を完成させ、後に夫婦で国籍をコロンビアに変えた。なぜ渋っていたのかは不明。これらの作品は国歌を制作する意図はなくあくまで愛国歌として作られた。
初演は1887年7月24日に教会の集会の後、ニロにある公園にあったタマリンドの木の下で行われた。正式な公でのデビューはボゴタのサンタクララ公立学校が所有していたTeatro de Variedadesでカルタヘナの独立宣言をした1887年11月11日に行われたもの。カルタヘナはシモン・ボリーバルがスペインへの徹底抗戦を誓うカルタヘナ宣言を発表した場でもある。この曲は国民の人気を博し浸透していった。
正式に法的根拠を持った国歌となったのは1920年10月18日に施行された法律33によって。

EXCELSIOR

憲法で国歌に関する言及はない。

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法律33(1920年)では国歌に法的根拠が示され、作曲家の著作権の再確認を求める内容が採択された。

法律89(1937年)では作曲家の功績を称えることを改めて確認し、記念碑や国立音楽院に油絵を設置することなどが定められた。

法律12(1984年)では、改めて国歌のシンボルに国歌があることが定められた。

法令1967(1991年)では、国家のシンボルに関しての取り扱いについて定められた。一部抜粋。
1章11条
国歌演奏中、出席者全員が起立する。男性は頭を下げ、男性も女性もそれまでの活動をやめて腕を離し、尊敬と崇拝の姿勢をとり、騎手は馬から降り、自動車の運転手と乗客は車から降りること。
この他にも、2章では罰則が定められている。

法律198(1995年)では、国家のシンボルに敬意を示さなければならないとした。一部抜粋。
第3条:学生は一週間に一度は国歌を歌わなければならない。
第8条:午前6時と午後6時に国歌を放送することが全ての放送局(24時間流す放送プログラムが長い局)に義務付けられ、短い放送プログラムの局は、就業日の始めと終わりに国歌を放送しなければならない。

法律ではアレンジが禁止されており1946年7月4日の判決で1963年に採択された正式版(JoséRozo Contreras版)を歌われなければならないとされた。

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全11節だが、全て歌うと17分かかる超大作なのでコーラスと第1節が歌われることが多い。

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小学校と中学校で国歌について学び、国歌に関する歴史、歌詞、意味、構成に関するテストがある。

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少数民族の権利を大事にする同国の姿勢が見える。1982年から1986年まで大統領を務めたBelisario Betancur氏が任期中にサンアンドレス島の先住民族に自身らの言語で国歌を歌うことを認めた。そのため歌詞はスペイン語だけでなく、Nasa Yuwe、Huitoto、Wayuunaiki、Ikunなどの先住民の言語と英語バージョンもある。

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国歌の内容に疑問を持つ人もいるようだ。暴力的な部分や特定の宗教を連想させる部分が問題だとして訴訟が起こった。しかし、コロンビアの憲法裁判所は「国歌は100年以上前に作曲された古典的かつ比喩的な歌詞であり、コロンビア人の国家の独立を得るための英雄的行為を順番に思い出させるために表現された哲学的、歴史的、愛国的な意味を超えていない」と判決を出し訴えを退けている。

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著作権はコロンビア内務省内にある国家著作権管理局(National Directorate of Copyright)が管理。

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「コロンビア砲兵の儀式で11節、騎兵は6節、4節は海軍が歌う」と記載しているサイトを見たことがあるがこれは間違い。部門に関係なく1節が歌われる。

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作曲家の名前を関した美術館が2011年12月2日に開館した。

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作曲家の妻、ジャスティナ・ヤナウはフランス生まれだが、国籍はコロンビア・フランス・キューバと諸説ある。

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8月7日のボカヤ戦勝記念日に国歌を歌う際は右手を胸に当て左手を挙げて歌う。

歌詞

【コーラス】

Oh gloria inmarcesible
Oh júbilo inmortal
En surcos de dolores
El bien germina ya.

【1】

Cesó la horrible noche
La libertad sublime
Derrama las auroras
De su invencible luz.
La humanidad entera,
Que entre cadenas gime,
Comprende las palabras
Del que murió en la cruz

【2】

“Independencia” grita
El mundo americano:
Se baña en sangre de héroes
La tierra de Colón.
Pero este gran principio: “el rey no es soberano”
Resuena, Y los que sufren
Bendicen su pasión.

【3】

Del Orinoco el cauce
Se colma de despojos,
De sangre y llanto un río Se mira allí correr.
En Bárbula no saben
Las almas ni los ojos
Si admiración o espanto
Sentir o padecer.

【4】

A orillas del Caribe
Hambriento un pueblo lucha Horrores prefiriendo
A pérfida salud.
Oh, sí de Cartagena
La abnegación es mucha,
Y escombros de la muerte
desprecian su virtud.

【5】

De Boyacá en los campos
El genio de la gloria
Con cada espiga un héroe
invicto coronó.
Soldados sin coraza
Ganaron la victoria;
Su varonil aliento
De escudo les sirvió.

【6】

Bolívar cruza el Ande
Que riega dos océanos
Espadas cual centellas
Fulguran en Junín.
Centauros indomables
Descienden a los llanos
Y empieza a presentirse
De la epopeya el fin.

【7】

La trompa victoriosa
Que en Ayacucho truena
En cada triunfo crece
Su formidable són.
En su expansivo empuje
La libertad se estrena,
Del cielo Americano
Formando un pabellón.

【8】

La Virgen sus cabellos
Arranca en agonía
Y de su amor viuda
Los cuelga del ciprés.
Lamenta su esperanza
Que cubre losa fría;
Pero glorioso orgullo
circunda su alba tez.

【9】

La Patria así se forma
Termópilas brotando;
Constelación de cíclopes Su noche iluminó;
La flor estremecida
Mortal el viento hallando
Debajo los laurels
Seguridad buscó

【10】

Mas no es completa gloria Vencer en la batalla,
Que al brazo que combate Lo anima la verdad.
La independencia sola
El gran clamor no acalla:
Si el sol alumbra a todos
Justicia es libertad.

【11】

Del hombre los derechos
Nariño predicando,
El alma de la lucha
Profético enseñó.
Ricaurte en San Mateo
En átomos volando
“Deber antes que vida”,
Con llamas escribió.

歌詞 日本語訳

 

歌詞 カタカナ読み

【コーラス】

¡Oh gloria inmarcesible!
オ― グローリア イン マルセシーブレ

¡Oh júbilo inmortal!
オー フービーロイン モルタール

En surcos de Dolores
エーン スルコス デードーローレス

El bien germina ya.
エルビエン ヘールミーナーヤー

El bien germina ya.
エルビエン ヘールミーナーヤー

¡Oh gloria inmarcesible!
オ― グローリアイ(ン)マルセシーーブレ

¡Oh júbilo inmortal!
オー フーービロイ(ン)モルターール

En surcos de Dolores
エーン スルコースデ ドーローレス

El bien germina ya.
エールビエン ヘールミーナーヤ

【1】

Cesó la horrible noche
セーソラ オゥルリーブレエ ノーチェ

la libertad sublime

ラ― リーベルター スーブリーメ

derrama las auroras
デーゥルラマ ラアス アウ ローラス

de su invencible luz.
デースインベン シーブレルーズ

La humanidad entera,
ラウマーニダド エンテーラ

que entre cadenas gime,
ケントレー カデーナス ヒーメ

comprende las palabras
コンプレーンデ ラスパラーブラス

del que murió en la cruz.
デルケー ムリオエーンラ クルス

【間奏後、コーラス】

(制作協力:駐日コロンビア共和国大使館)

国歌に関するリンク

【大統領府 “国歌 歴史”】
http://historico.presidencia.gov.co/asiescolombia/himno2.htm

【大統領府 “Rafael Núñez Moledo”】
http://historico.presidencia.gov.co/asiescolombia/presidentes/34.htm

【大統領府 “憲法”】
http://wsp.presidencia.gov.co/Normativa/Documents/Constitucion-Politica-Colombia.pdf

【外務省 “Símbolos patrios y otros datos de interés”】
https://www.cancilleria.gov.co/colombia/nuestro-pais/simbolos

【共和国議会 “2019年プレゼンテーション資料”】
https://www.camara.gov.co/sites/default/files/2021-02/PONENCIA%20SEGUNDO%20DEBATE%20SENADO_2.pdf

【SUIN – JURISCOL “LEY 33 DE 1920”】
http://www.suin-juriscol.gov.co/viewDocument.asp?id=1589201

【SUIN – JURISCOL “LEY 89 DE 1937”】
http://www.suin-juriscol.gov.co/viewDocument.asp?ruta=Leyes/1630555

【SUIN – JURISCOL “DECRETO 1967 DE 1991”】
http://www.suin-juriscol.gov.co/viewDocument.asp?id=1378580

【SUIN – JURISCOL “LEY 12 DE 1984”】
http://www.suin-juriscol.gov.co/viewDocument.asp?id=1568555

【GOV.CO “Ley 198 de 1995”】
https://www.funcionpublica.gov.co/eva/gestornormativo/norma.php?i=319

【駐ローマ コロンビア領事館 “Homenaje al músico italiano Oreste Sindici compositor de la música del himno nacional de colombia y lanzamiento del concurso musical Oreste Sindici”】
https://roma.consulado.gov.co/node/news/10811/homenaje-al-musico-italiano-oreste-sindici-compositor-la-musica-del-himno-nacional

【独立博物館 “piezas en dialogo”】
http://www.museoindependencia.gov.co/exposicion/Documents/Oreste%20Cindici.pdf#search=Himno%20Nacional

【博物館強化プログラム “MUSESO ORESTE SINDICI”】
http://simco.museoscolombianos.gov.co/Directorio/Museo?personaJuridicaId=2875

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