声はいらない!動きで歌う 手話国歌の美しさ

ドイツ・ケルンのユースホステルの食堂で朝食をとっている時、ふと周りの異様な静かさに気付きました。50人ほどの団体客がいるにもかかわらず話声が聞こえない。日本の旅館なら朝の静けさは普通かもしれませんが、賑やかなことが多い海外のユースホステルの食堂では異様でした。不思議に思い団体客を見ると、口は動かしているものの声が出ていない。その代わりに手をすごい勢いで動かしています。

手話だ!

人は会話をするのにとてつもないエネルギーを発しているのだと感じた事を今でも鮮明に覚えています。ということで今回は手話で歌う国歌たちをご紹介^^

手話で歌う国歌 国歌動画大国インド

インターネットで探すと沢山の動画を見つけることができますが、多いのはアメリカ、UAE、そしてインドです。

インドは国歌動画大国で多くの国歌関連の動画を見つけることができます。国歌の名前がタイトルのショートムービーがあるほど。下記の動画は小学生が朝礼で歌っているというシチュエ―ションのもので最後の“ジャイヤヘー(ばんざい)”の部分が印象的。

 

覚えたいという方にはこちらがオススメ。ゆっくりと丁寧に大人がやっているので分かりやすいです。歌詞も表記してくれているので日本語訳を見ながら覚えるといいですね。

手話が公用語になっているニュージーランド

2006年に手話が公用語となったニュージーランド。この動画は同国の3つの公用語で国歌『God Defend New Zealand』が歌われている素敵動画です!

アルゼンチンにヨルダン まだまだある手話国歌

先程挙げた国以外にもネット上で手話国歌を見ることができるのでご紹介したい。アルゼンチン国歌はメロディの盛り上がりを手ぶりで表現しているのが面白い。顔の表情や手の握る力具合、スピードなどを見てどこが盛り上がり部分なのか意識してみるのがオススメです。

こちらはヨルダン国歌。以前は世界一短い国歌として手話で表現されている部分が全てでしたが、現在はこの部分に追加され長めの国歌になっています。ただ、追加されたのは最近のことなので、この部分だけ出来れば十分かと。頭に王冠を乗せるしぐさをする“国王”や手をパタパタさせ“国旗はためく”を表現するなど覚えやすいのがいいです。

曲を聞くと“スリィーーランカ ナモーナモーナモーナモーマァター”のリピートが印象的ですが、手話も同じ部分が印象的で真似したくなります。

手話で表現しにくい日本の国歌『君が代』

では我が国、日本の国歌はどうでしょうか。

残念ながら現状では「これが君が代の手話です」と紹介できるものはありません。しかしこの曲には手話に最も必要なものが欠けています。それは・・・

統一された歌詞の意味

例えば冒頭の“君”の部分。これは何を指すのか公式見解はありません。

”国”? “天皇”? “恋人”? “国民”?

君が代は世界でも珍しい歌詞の意味が統一されていない国歌です。意味を手振りで表現する手話ではこれが決まっていないと難しい。筆者としては残念だと思いつつも、主語がはっきりしないというのが日本らしさが出ていて日本の国歌らしいなと思っているのですが・・・

国歌を体で表現する美しさ

国を代表する人間が作った歌詞の美しさもあって、国歌を体で表現する人々の動きはとても美しい。歌い手の気持ちがこもっているとなおさらです。インド国歌の“ガンジス河”、アルゼンチンの“栄光の死か”などの表現は一見の価値ありです!